「若い女性も飲んでいいんだ」と買ってもらえた

缶酎ハイのユーザーには、さまざまな人がいます。1週間で缶酎ハイを何本も飲む人もいれば、数カ月に1本という人もいます。

酎ハイ市場の8割を構成しているのが、1週間に何本も飲む人。言ってみれば、ヘビーユーザーによる購買なのです。

競合と比べたとき、「檸檬堂」はこのヘビーユーザーが取れていないことがわかりました。その理由の一つが、逆にいえば私たちの成功の理由でもありました。ほとんど酎ハイを飲まなかった人たちが、買っていったからです。

テレビCMでも、若い女性たちが飲んでいるというシーンを登場させました。「ああ、若い女性も飲んでいいんだ」という雰囲気を醸し出した。

これまでのレモンサワーは、「私たちのものではなかった」と思っていたけど、「こんな素敵なブランドができたのなら」と、若い女性たちにも買ってもらえたのです。

パッケージがこれまでとはまるで違っていたことも大きかったと思います。いわゆる「ジャケ買い」です。

自宅で過ごす女性
写真=iStock.com/byryo
※写真はイメージです

「プレミアム市場」を作り、マーケットを拡大した

実際、これまで飲んでいなかった若い女性が、インスタグラムに次々に「『檸檬堂』を飲んでいる」と投稿してくれたりしました。新しいカテゴリーユーザーが入ってきたのです。

もともと3000億円だった酎ハイマーケットは、3年で4000億円規模に拡大しています。私たちが若い女性やライトユーザー向けを出したことで、競合も次々と同じカテゴリーに商品をぶつけてきたからです。

しかも、「檸檬堂」が創ったのは、従来よりも値段の高いプレミアム市場です。108円ではなく、128円、138円。これは、お店からも喜ばれました。1缶のスペースは同じでも、入ってくる利益が大きいからです。

単価が上がり、しかも安売りしなくても売れるプレミアムの酎ハイ。だから、日本コカ・コーラがアルコール飲料に入ってきても、喜んでもらえたと私は思っています。すごいですね、いいブランドですね、おいしいですね、という声も業界内からいただきましたが、プレミアムで来たことが大きかったのではないかと思うのです。

つまり、マーケットを大きくすることができたのです。