人が話をしているときは、相手の話を遮らない

「人の話を遮らない」「人の話は最後まで聞く」というのは、親しくなるためにはあたりまえのマナーのようですが、意外にできていない人が多いのです。

とくに上司と部下、親子、夫婦や恋人など、上下関係や親密な関係のなかで「ちゃんと人の話も聞いてよ!」と言われたことがある人、いるのではないでしょうか?

話を遮る理由のひとつは、「待って。それは違う」というように反論したいときや、自分の意見を押し通したいとき。もうひとつは「あー、わかりました」「それはもういい」など、先が読めて話を聞くのが無駄だと感じるときです。

後者は、悪気はなく、反論したいわけでもない。むしろ、建設的にテキパキと話を進めたいからこそ、だらだらした無駄な部分は端折りたいのです。

しかし、どちらも自分のペースに従わせようとする傲慢ごうまんさがあることは、間違いありません。相手に「この人に話しても、わかってもらえない」と思われるでしょう。

相手を尊重して、「話を遮らず、最後まで聞くこと」ができれば、多少、自分を抑えたり、長い話を聞かされたりすることになっても、その何倍もいいことがあります。

まず、度量が大きく、包容力のある人として信頼されます。とくに弱い立場の人にとって、話をちゃんと聞いてくれる存在は嬉しく、ありがたいもの。「気軽に話せる人」として慕われ、日常的に多くの情報が集まってくるでしょう。

また、「この話は先が読める」と思っても、最後まで聞くと、思わぬ情報や展開があること、意見の折り合いのつけ方が変わってくることも多々あります。

人は自分の意見が通らなくても、「話を受け止めてくれた」という満足感で、ある程度、納得するもの。嚙み合わない、伝わらないといったもどかしさがなくなります。相手の意見もちゃんと聞こうとする態勢になり、理性的な話し合いもできるのです。

相手の話がひと区切りするところまで「聞くこと」を心がけて、質問や意見は後回しにしてみてください。遮ってまで発言する重要なことは、ほとんどありませんから。

肯定的な言葉で始めて、肯定的な言葉で締める

一緒にいて消耗する人の筆頭が「ネガティブ発言が多い人」ではないでしょうか。

有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)
有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)

たとえば、顔を合わせるたびに「疲れた」「暑くてやだー」「今日の仕事は気が重い」「早く帰りたい」なんてネガティブ発言を連発。ストレス発散なのか、愚痴や悪口がエンドレスに続く……という人と一緒にいると、気が滅入ってくるでしょう。

反対に、会話が自然にポジティブな方向に進んでいく人とは、話をしていて元気になるもの。そんな人は、もともと明るく元気な性格というわけではなく、ものごとの受けとめ方がやわらかく、明るい方向を見る習慣があるのです。

たとえば、行きたかったレストランに行ったら臨時休業だったとき、「最悪。楽しみにしていたのに。あーあ。来なきゃよかった」とぶつぶつ言っている人、一瞬、「あらら、残念」と言ってもすぐに、「まぁ、ほかにも店はあるし、つぎのお楽しみにしましょう!」と前を向く人、当然、後者の人と一緒にいたほうが楽しいでしょう。

ネガティブ思考の人が、ポジティブな発言をしようとしてよくやる間違いは、「なにかいいことはないかな」と見つけようとすること。ですが、一緒にいて元気になれる人は、どんなこともプラス面を見て、肯定的な言葉で表現する人なのです。

「上司は優柔不断な性格だ」→「慎重でやさしい性格だよね」、「締切まで3日しかない!」→「まだ3日あるからなんとかなる!」というように。注意するときも「ミスが多いよね」と嫌味っぽく言うより、「確認する癖をつけたら、ミスが防げるよ」「凡ミスがなければ完ぺき」など肯定的に言ったほうが相手も受け入れやすいはずです。

ただし、無理にポジティブ変換して「きっと神様がくれたギフトよ!」などと押しつけてくる人は鬱陶うっとうしい。ネガティブな発言をしてはいけないわけではありません。

「肯定的な言葉で始めて、肯定的な言葉で締める」を心がけるだけで、「明るく前向きな人」という印象になるはず。なにより口から出ていく言葉をいちばん聞いているのは自分自身。肯定的な言葉のほうが心が穏やかになり、ものごとがうまくいくのです。

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