信頼される人はどんな話し方をしているか。作家の有川真由美さんは「丁寧な言葉遣いはひとつの信頼になり、見た目の印象を超えてくる。いくら品のある外見でも荒っぽい言葉遣いでは、知性に欠けているようにみえてくる。一方で、例えば金髪でいかつい若者がエレベーターで『お先にどうぞ』『何階ですか?』と丁寧な言葉遣いだったときは、ガラリと好印象に変わる」という――。

※本稿は、有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

顔の前で面白い笑顔の紙を持っている若いビジネスマン
写真=iStock.com/ra2studio
※写真はイメージです

言葉遣いが丁寧な人は、安心して話せる

「この人とは安心して話せる」という人は、相手を心地よくしてくれる“マナー”があるもの。本稿では「気軽に話せる関係」になるためのちょっとしたマナーについてお伝えしましょう。

まず、あたりまえですが忘れがちなのが、「丁寧な言葉遣い」です。言葉は、品格をもっとも表すもの。良くも悪くも、人は言葉遣いで判断されるのです。

カフェで、上品な服装をした40歳前後のご婦人グループから、「うざっ」「やっば」「まじ?」「めんどくせー」といった言葉がつぎつぎに聞こえてきました。

その途端、印象がまるで変わり、顔つきが幼く、知性に欠けるように見えてきたのです。反対に、金髪でいかつい風貌の若者がエレベーターで「お先にどうぞ」「何階ですか?」と丁寧な言葉遣いだったときは、「なんていい人!」とガラリと好印象に。丁寧な言葉遣いはひとつの信頼。見た目の印象を超えてくるのです。

敬語で話せということではありません。フランクな話し言葉でも相手の顔を見て、ゆっくり話そうとするだけで、言葉は丁寧になり、自然に気持ちもこもります。

心が言葉をつくるようですが、じつは逆。言葉の習慣が心のあり方をつくるのです。

口が悪く、汚い言葉を使う人は、気性が荒くてトラブルが多い印象があります。多くは自分の言葉によってヒートアップしてしまうわけです。

もともと私も感情の起伏が激しいタイプなので、けっして人を傷つけないよう、丁寧な言葉遣いを心がけています。イラッとしたときもひと呼吸置いて、ゆっくり「あらまぁ、どうしましょう」などと言っていたら、イライラすること自体なくなりました。

「和顔愛語」という仏教の言葉があります。和やかな顔と愛のある言葉で接すれば、それが循環して、まわりの人も自分も幸せになれることは、実感としてあるでしょう。

「この人の話し方は素敵」と思うお手本を見つけて、なり切ってみるのもひとつの練習方法。丁寧な言葉を使うと、声をかけられることが増えてくるはずです。