前に聞いたことを、さりげなく話題にする

顔見知りの人に「夏休み、福岡のご実家に帰られていたんですよね。ゆっくりできました?」なんて言うと、「そうそう。よく覚えていましたね。久しぶりに家族みんなで集まって、ゆっくり、わいわい過ごせたのでよかったです」と、スムーズに会話がつながっていくことがあります。

相手からすると、自分がなにげなく話したことを覚えてくれているのは嬉しいもの。いままで以上に親近感がわいて、互いの理解も深まっていきます。

とはいえ、雑談なんて、よほどインパクトがないかぎり、会話が終わったら、泡のように消えていくのが普通です。

相手が言ったことをすべて覚えておく必要はありません。なんとなく印象に残ったキーワードだけ覚えておいて、つぎに会ったとき取り上げればいいのです。

通っているスポーツジムで顔見知りになった女性とは、会うたびに健康の話をします。「玄米、食べているんですよね。いかがですか?」「たしか冷え性でしたよね。生姜茶もいいですよ」「睡眠時間はとれてます?」なんて話すうち、仕事や家族構成は知らないのに、互いの体を労り合う不思議な関係に。

共通の話題や興味があること、情報交換や協力ができそうなことなど、自分に引き寄せたキーワードは、記憶に残りやすく、話も弾みやすいものです。

私は、仕事関係者やセミナーによく来てくれる方などの情報を勘違いして、うっかり失礼なことを言ってしまいそうになるので、名前や会社名、出身地など重要だと思うキーワードは、スマホのアドレス帳にメモしています。

あやふやな記憶は、話題にしないか、正直に「○○さん、出身はどちらでしたっけ?」などと尋ねてもいいと思うのです。3回以上聞くのはほんとうに失礼ですが。

「あれって、どうなりました?」「たしか~でしたよね」などと、会話を連載小説のようにつなげていくうちに、気軽に話せる関係になることは間違いありません。

人のおすすめに乗ると、速攻で仲良くなれる

身近に、助けたり助けられたりする関係があると楽しいし、心強いものです。だから、少しだけ“おせっかい”を焼いてみませんか。もちろん、迷惑そうな人には遠慮しますが、「こんなのあるよー」と情報を提供すると、喜んでくれる人は多いのです。

有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)
有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)

たとえば、お笑いが好きな人に「いい気分で眠りにつける漫才のYouTubeがありますよ」とおすすめ。すると、「あの動画、さっそく見てみました。たしかに幸せになれますね~」「でしょでしょ?」と話が弾まないわけはありません。

なにより、すぐに試してくれたことが嬉しい。「すぐに実行する」というのは、紹介した相手に対する最高の気遣いではないかと思うのです。

ほかにも、おすすめの健康器具、病院、カフェ、調理器具、小説、アプリ……、合うかどうかわからないけれど、自分がいいと思ったものをおすすめして、だれかが喜んでくれるのは嬉しいもの。

先日、私は「彼氏が欲しいな~。だれかいないかな~」と言っている女性に、“お見合いおばちゃん”になって信頼する男性を紹介。

結果はうまくいかなかったものの、それぞれから「会ってよかったです。いろいろ考えるところがありました」なんて報告をもらうと、報われた気持ちになりました。

一方、なにかおすすめして、その場では「やってみます!」と盛り上がっても連絡なし。相談に乗っても、その後、音沙汰がない人もいます。採用するかは相手が決めることですが、せっかく親しくなれるチャンス、なにも反応しないのはもったいない。

私は、おすすめされたことは、小さく試して、早めにフィードバックします。試すことより、仲良くなることのほうに重心があることもあります。情報には鮮度があるもの。時間が経ってからでは必要性もなくなり、お互いに忘れてしまうでしょう。

現代社会は「余計なお世話はしないほうがいい」となりがちですが、押しつけでなく、ニーズに応えるおせっかいはどんどん焼いたほうがいいし、無理のない程度に乗ったほうがいい。それが助け、助けられる循環になっていくのですから。

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