相手との距離を縮めるのが上手い人は何をしているか。作家の有川真由美さんは「会話を楽しんで親しくなろうとするなら、むずかしく考えないほうがいい。無表情な人はなにを考えているかわからないので、本人が思う以上に、気になるもの。素直な“感情リアクション”のほうが、相手も話しやすく、だんだん乗ってきて仲良くなれる確率はぐんと高まる」という――。

※本稿は、有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

肘をついて会話を聞くビジネスマン
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
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とりあえず、顔を上げる

声をかけやすい人、すぐ顔見知りになれそうな人とは、どんな人でしょうか?

私たちは普段から、無意識に人を選んで話しかけています。

たとえば、なにかを尋ねるとき、「あの人なら親切に教えてくれそう」とか、「この人は忙しそうだから、やめておこう」というように、その人から醸し出される雰囲気を瞬時に感じ取っているはずです。

「声をかけられる人」に共通する特徴のひとつは、顔を上げていること。それだけで自然に背筋が伸びて、表情もやわらかくなって、まわりに心を開いている印象があります。視線も外に向いているので、人の動きをキャッチして目が合いやすいのです。

反対に、声をかけにくい人は、大抵うつむき加減で背中が丸まっていて、他人に関心がなく、自分の殻に閉じこもっている印象があります。意識していないと、人の顔は不機嫌に見えることが多いもの。とくにスマホをいじっている人は、無意識に他人を拒絶するような“話しかけないでオーラ”を発しているように感じます。

顔を上げているかどうかだけで、“親しみやすさ”の印象はまるで違うのです。

なかには、ほんとうは話しかけてほしいのに、恥ずかしがり屋でうつむいている人もいるようです。私もかつてはそんなタイプで、一人でもじもじしていたものです。

しかし、「自意識過剰。他人はそれほど自分を気にしていない」と考えるようにしてから、顔を上げて、自分ではなく、他人に意識を向けるようになりました。

パーティなどでも「どんな人がいるんだろう?」とまわりを観察していると、目が合ったり、声をかけられたりすることが増えてきました。なにより、顔を上げるだけで、自動的に心が開いて明るい気分になっていきます。

「いつでも声をかけていいですよ」という余裕をまとっている人は、大人としてかっこいい。自分の心持ちひとつ、小さな行動ひとつで、だれでも声をかけられる人になれるのです。