「あいさつ」にひと言添えるだけでいい

職場や習い事、ご近所などで「すごく感じのいい人だな」「お近づきになりたいな」という人がいるとき、どう話しかけていいものかと悩むかもしれません。

でも、そんなにむずかしく考える必要はありません。

もっとも簡単で効果的で、自然にお近づきになれる方法は、「あいさつ」にひと言添えることです。

たとえば、「おはようございます。朝晩、涼しくなってきましたね」「こんにちは。あら、おしゃれな傘!」「おつかれさまです。今日は帰社が早かったですね」など、当たり障りのないひと言でいいのです。

すると、相手からも「おはよう。いまの時期は過ごしやすくていいね」などと返ってきて、なにげない会話が生まれます。

添えるひと言は、季節や天気、日ごろの感謝、労い、相手へのほめ言葉、気づきなど、ありきたりなコメントでいいのです。

「おはようございます」だけで終わるのと、それにひと言添えるのとでは、印象がまったく異なります。ひと言あるだけで、「お近づきになりたいです」という気持ちが伝わり、“あいさつ”が、自然な“雑談”になるのです。

メールでも、「いつもお世話になっております」と定型文だけで始めるのと、「今日もいい天気ですね」と自分の言葉がひと言添えてあるのとでは、大違い。たった“ひと言”でも、それは相手のために自分が選んだ言葉なのです。

単なるあいさつだからと、雑にやってはもったいない。あいさつは、相手との距離を縮める最大のチャンス。ひと言二言添えて会話をしているうちに、気づけば「よく話す仲」になっていることもあります。

大切なのは、自分の言葉で話すこと。いつも顔を合わせている家族や同僚でも、「おはよう」や「ありがとう」にひと言添えるだけで、血の通った会話になるのです。

質問されたら、「YES(NO)+α」で答える

「私は人と話すのが苦手で……」という人のなかに、こんな話し方をする人がいます。

「なにか運動してます?」と話しかけると、「いえ、なにも……」。「旅行は楽しかった?」→「はい」。「仕事はうまくいってる?」→「まあなんとか」。

という具合に、問いかけへの答えがひと言で終わってしまうので、会話が続きません。これでは、まるで大人が子どもにあれこれ質問しているようです。

受け身な態度も「話しにくい人」の特徴のひとつ。「話したくないのかな」と思われても仕方ないでしょう。“会話”のキャッチボールは、投げられたボールをただキャッチして終わるのではなく、相手に投げ返す必要があるのです。

キャッチボールをするおもちゃの人形
写真=iStock.com/Seiya Tabuchi
※写真はイメージです

あいさつにひと言添えれば“雑談”になるのと同じで、質問にも「はい(いいえ)」に、もうひと言だけ、つけ加えて返せばいいのです。

たとえば「なにか運動してます?」と聞かれたら、「いいえ」のあとに「あ、犬の散歩はするか……」とか「運動が苦手で……」とか「水泳をしたいと思って早3年」とか思ったことを適当に。そこから連想ゲームのように話が膨らんでいきます。

とくに「芸能人で推しとかっています?」とか「卵焼きってどんな味付けが好きですか?」なんて唐突な質問をしてきたときは、本人が話したがっているテーマである可能性大。答えたあとに「○○さんはどうですか?」と聞き返してあげるのがやさしさというもの。

リアルな会話だけでなく、メールやSNSでも「打ち合わせは10時からになりました」などの連絡に「はい」「了解」だけしか返ってこないと、「嫌なの?」「なにかあった?」と不安になる人もいます。「連絡ありがとう」「楽しみにしています」「また明日!」など簡単なひと言が添えてあるだけで、ほっと安心し、あたたかい印象です。

年下や新入りだとつい受け身になってしまいがちですが、口下手でも、少しでも話そうとしてくれる人は、気軽に話せる関係になりやすいでしょう。