短く、ちょこちょこ話す「スモールトーク」を重ねる
人と仲良くなるためには、雑談でたくさんしゃべること、長時間じっくり話すことが大事だと思っている人がいるかもしれません。
しかし、まったく逆で、雑談は“長さ”よりも“頻度”のほうが大事なのです。
とくに近所の人、職場の人、よく行く八百屋さんなどと、通りすがりの雑談をするなら、「長く会話すること」よりも、「短く切り上げること」に意識を向けましょう。
気楽に話せる相手だと認識されれば、声をかけられることも多くなります。ほんの10秒ほどの会話でも、じゅうぶんあたたかい交流ができるのです。
たとえば、近所の人と会って「あら、お出かけですか?」「ええ。ちょっとお買い物に」「雨が上がってよかったですね。行ってらっしゃい!」「行ってきまーす」。
同僚が休憩室に入ってきて「新しい仕事、慣れた?」「全然。歳のせいか物覚えが悪くて」
「みんなそうよ。手伝えることがあったら言ってね」「ありがとう!」。
これで10秒。そこそこ中身のある会話ができるのです。
また、話しやすい人は、短く簡潔に伝えようとする傾向があります。短いコメントだからこそ、印象に残るもの。だらだらとしゃべる相手だとなにが言いたいのかわからず、面倒に感じてしまうものです。
ほんのひと言二言、しかも10秒でいいと考えると、気がラクになりませんか?
会話のキャッチボールは、自分がもつ時間をできるだけ短くして、テンポよく相手に返すこと、さくっと早めに終わらせることがコツ。そんな「スモールトーク」をちょこちょこ重ねることで、心の距離が近くなり、“顔見知り”が増えていきます。
居合わせた人たちにフレンドリーに話しかける「スモールトーク」の文化が海外で発達したのは、多様な人たちの警戒心を解いて、その場の空気を心地よいものにするため。私たちのいまいる場所でも、今後、必要性が増していくはず。「ちょっとずつの会話」を心がけることで、日常のなかで心地よい関係ができていくと思うのです。
「共通すること」をすぐに見つけて、話題にする
どこに行っても、人と親しくなれる人は、すぐに“共通点”を見つけようとするものです。
初対面の人、年齢が離れている人、立場が違う人であっても、「出身地が同じ」「やっていたスポーツが同じ」「好きなアーティストが同じ」など、共通点があることがわかると、話が一気に盛り上がって、打ち解けることがあります。
「類は友を呼ぶ」というように、人は自分と共通点をもつ人に好感や親近感を覚えて惹かれ合うもの。共通点が見つかれば、「好みが同じで、嬉しい!」「じゃあ、○○はご存じですか?」「今度、一緒にやりません?」なんて話も広げやすくなります。
ただし、共通点を見つけようと、初対面の人にいきなり「出身は?」「年齢は?」「血液型は?」なんて矢継ぎ早に聞いては、相手も引いてしまいます。
まずは“見た目”の情報から入るといいでしょう。むずかしく考えることはありません。「私もそのブランドの服、好きなんです」「あ、ボールペンが同じ。使いやすいですよね」「同じ飲み物ですね。では、乾杯~」なんて具合。
名刺は共通点探しの宝庫。「じつは私、近くの会社に通っていました」「名前に同じ漢字が入っていますね」「私も○○に関連した仕事をしています」というように。
私は先日、海外から帰ってくる機内で、となりの若い外国人女性に話しかけようかと迷っていたところ、ふと気づいたのです。「あーーー、同じ映画観てる!」。
「たくさんある映画から同じ映画を選ぶなんて、すごい偶然」と話しかけて、意気投合。さらに「一人旅が好き」「歴史を感じる場所が好き」「忘れ物が多い」などの共通点を見つけて話が弾み、その後メール交換をするようになりました。
最終的には、見た目や肩書きなど、わかりやすい共通点よりも、好きなものや価値観など考え方の共通点のほうが、仲良くなりやすいもの。そんな共通点は、相手に興味をもちさえすれば、どんな人からも探し出すことができるのです。