Z世代の部下にはどう接すればいいのか。社員教育コンサルタントの朝倉千恵子さんは「今の20代は上の世代と比べて人間関係の摩擦を経験してきていないので、とにかく幼い。仕事ができる人材に成長させるには、これまでとは違う接し方が必要になる」という――。
風物詩となった「今年の新入社員」愚痴
Z世代の若者とのジェネレーションギャップに悩む声がいたるところから聞こえてきます。40代、50代の管理職世代にとっては“宇宙人”のような不可解な言動に、頭を抱えてしまっている人も少なくないようです。
とはいえ、毎年「過去に例を見ない暑さ」を更新する夏のお天気のように、これまでも「今年の新入社員は、ここ数年で最もひどい……」と言われ続けてきました。それでも、ときには問題児扱いされていた新入社員が、先輩たちを越える結果を出し、会社を支える人材にまで成長することもよくあります。
新時代の価値観を携えて、これまでにはないすごい活躍をする人材になるのか。ただ「使えない」「仕事ができない」「要領が悪い」だけの人材で終わってしまうのか。全ては本人の資質ではなく、新入社員・若手社員時代の職場環境とそこで培った仕事観によって決まる、と私は考えています。
Z世代の新入社員は私たちから見れば、分からない・不可解な存在であることは事実です。しかし同時にポテンシャルの塊でもあります。彼らとどう向き合うか次第で、会社の業績はもちろん、本人のこれからの成長、さらに私たち自身の仕事人生も大きく変わっていきます。
「打たれ弱い若者」は親世代の責任でもある
40代、50代の管理職の方々とお話をしていると、必ずといっていいほど出てくるのがZ世代の若者たちが「打たれ弱い」「叱るとすぐに落ち込んでしまう」という話です。学校でも家庭でも厳しい躾を受けてこなかった人たちが、社会に出てすぐに厳しい注意指摘を受けると、そのギャップの大きさに戸惑ってしまうのも理解できます。
彼らが打たれ弱いのは事実ですが、それは彼ら自身がなにか努力を怠ったからとか、DNAレベルで弱いからとかそういう話ではないはずです。彼らの打たれ弱さを形成したのはその親であり、社会の環境です。