親に叱られた経験が圧倒的に少ない

団塊世代以降、恋愛結婚が当たり前となり家族の形も変わりました。「友達家族」といった言葉が流行し、今の家族は一昔前の家族と比べて、色々な意味でとても仲が良いです。もちろん、それは良いことではあるのですが、だからこそ家庭の中で叱られた経験が今の20代の方々には圧倒的に少ないです。

実際、「最近の新入社員は少し叱っただけでヘコんでしまうので扱いづらい」と愚痴を漏らしていた人に、「じゃあ、あなた自身は息子さんや娘さんに対して、親として叱る教育をしていたの?」と聞くと、ほとんどの場合答えはノーです。子どもは可愛いし、嫌われたくないからこそ、甘やかしてしまったという人がとても多いです。

自分の子供は厳しく躾をしてきていないのに、同じ会社に入った若者に対しては「打たれ弱い」「当たり前のことができない」とネガティブな評価をするのは、少し虫が良すぎるかもしれませんね。

上司からの注意・指摘は“ギフト”である

これまで叱られた経験がない人が、社会に出ていきなり0から100、白から黒というような急激な変化に直面すると戸惑ってしまうことになるかもしれませんが、ステップを踏み少しずつ環境に慣れさせることができれば、彼らの受け取り方も変わってきます。

そこで新入社員研修では、まず注意・指摘やフィードバックを受ける心構えから伝えています。

注意・指摘を受けると「叱られた」→「自分はダメだ」と必要以上に悲観的に受け取ってしまう人が少なくありません。しかし、そもそも注意・指摘をしてもらえる、というのは「有難い」ことなのです。

特に昨今はハラスメントの問題があり、上司も厳しいことを言いづらくなっていますし、ましてやお客様から率直なアドバイスがいただけることなんてまずありません。人は、興味がない人に対してはわざわざ注意・指摘はしません。嫌われたり、人間関係が悪くなったりすることを恐れて、思うことはあっても口をつぐむのです。

それでもあえて伝えるということは、その人に対して伸び代を感じ「もっと良くなってほしい」と思っているからこそ。注意・指摘や厳しいフィードバックは、「あなたはダメだ」というレッテルを貼っているのではなく、伸び代に期待してされているからこそいただけるものなのだと伝え、「フィードバックをもらえて良かった!」という感覚を醸成していきます。