管理職になりたがらない若手社員が増えている。パーソル総合研究所上席主任研究員の小林祐児さんは「いまの管理職は一般職との賃金差がなくなりつつある。役割が増え、責任も重いのに、一般職より“タイパ”は悪い。だから出世を目指さずスタートアップ企業などに転職する若手社員が増えている」という――。(第1回)
※本稿は、小林祐児『罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法』(インターナショナル新書)の一部を再編集したものです。
この40年で管理職の割合はピークの半分に
この数十年で、日本の雇用社会は大きく変わりました。まず、管理職の「数」です。
バブル崩壊以降、日本企業が行った施策に「組織のフラット化」があります。旧来のピラミッド型組織を平らにし、階層を減らし意思決定を速くしよう、というものです。階層が減りますから管理職も減り、結果的に管理職一人当たりの部下の人数は増えることになります。
実は、管理職の数の推移を統計上で正確に調べるのは極めて困難です。統計上の分類には、国勢調査が用いている日本標準職業分類の「管理的職業従事者(大分類)」がありますが、ここには会社・団体等の役員も含まれてしまいます。賃金構造基本統計調査では「役職」がわかりますが、それがいわゆる管理職なのかは、会社ごとに異なります。
また、部下無し管理職・スタッフ管理職など、部下のマネジメント業務を行わない管理職は、統計上の扱いが難しくなっています。それでも断片的にデータを追えば、概観を掴むことはできます。
例えば、統計学者の本川裕氏が国勢調査をもとに狭義の管理職数の推移をまとめたデータを見ると(図表1)、管理職の割合は1980年の4.7%をピークに長期的な低下傾向を示しています。2005年にはピーク時の約半分である2.4%にまで低下しています。男女の年齢別のデータ(図表2)から男性の1995年と2015年の数値を比べれば、1995年に50代前半で11.1%だったものが、2015年にはなんと5.0%と約半分になっています。