1998年から2012年生まれをZ世代とすると、今年の新入社員を含める若手はまさにその世代。マーケティングディレクターの山本渉さんは「多くの経営者や管理職が、若い世代の育成に悩んでいる。Z世代の特徴は、出世欲はないが成長したいという欲求が強いこと。その傾向をつかんで接することが必要だ」という――。

※本稿は、山本渉『任せるコツ 自分も相手もラクになる正しい“丸投げ”』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

横一列に並ぶ若いビジネスパーソンたち
写真=iStock.com/TAGSTOCK1
※写真はイメージです

新卒社員もZ世代、価値観が異なる若者の特徴とは?

多くの経営者やマネージャー(管理職)が、いわゆるZ世代と呼ばれる若い世代の育成に悩んでいます。今までと同じように育成しているのに思ったように動かない、何を望んでいるのかわからない、といった声をよく聞きます。

まず、世代間ギャップというのは、Z世代に限らず、いつの時代もあるものです。「古代の壁画に『最近の若いものは』という愚痴が書かれていた」という話があるぐらい、普遍的な悩みです。

そして、現在の新卒社員も含まれるZ世代(12歳~26歳)が会社や仕事に求めることは昔とは変わっています。

昇給や出世へのガツガツとした意欲はさほどなく、代わりに成長欲求が強まり、パーパス(存在意義)を重視する傾向があります。

その他にも、Z世代はこのような要望がより強い世代と言われています。

・話をしっかり聞いてもらいたい
・頻繁な承認を求める
・多様性の尊重、上司のやり方を押し付けられたくない

ここでお伝えする「任せ方」は期せずして、Z世代を最大限に活かす手法となっています。

自信を持って正しく「任せる」ことで若手の成長を促してください。

管理職は部下よりもえらいわけではなく、役割が違うだけ

「君は舟なり、庶民は水なり」

これは、中国の古典にある言葉です。

「君主は舟で、人民は水のようなものだ」ということです。水によって舟は浮くことも転覆することもある。その地位に胡座あぐらをかいて威張るのではなく、人民を愛して大切に扱うべき、と示唆しています。これは、ビジネスで上司と部下の関係にも当てはまります。

「マネージャーはメンバーよりも偉いわけではなく、役割が違うだけ」。自分の下で支えるだけの存在と軽んずると、転覆してしまう可能性もあります。

3パターンのリーダーシップ
 出典=『任せるコツ

マネージャーである自分をどれだけ持ち上げてくれるか、という自己至上主義ではなく、主役はメンバーであるというマインドにシフトする必要があります。具体的に、どのようなリーダー、どのような「任せ方」が今の時代に求められているのか。

かつては圧倒的なパワーを持った一人のリーダーが強引に引っ張るスタイルが主流でした。「①支配型リーダーシップ」と呼ばれるものです。

ハラスメントやコンプライアンスという概念が気薄だった頃には、トップダウンの命令型の任せ方が横行していました。