人手不足の一方、働き方改革も迫られる現代の職場。著書『任せるコツ 自分も相手もラクになる正しい“丸投げ”』が15万部を突破した山本渉さんは「決定権のあるリーダーなら、部下を守るために取引先からの依頼を断ることも必要。そんなとき“お断り”メールの最後に入れると効果的なマジックワードがある」という――。

※本稿は、山本渉『任せるコツ 自分も相手もラクになる正しい“丸投げ”』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

のけぞって頭をかかえるビジネスパーソン
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管理職なら仕事の洪水は自分のところで止める

前の記事では、時代にあった「任せ方」に関して解説してきましたが、「どんな仕事を依頼するか」と同じぐらい重要なのが、「どんな仕事を依頼しないか」です。

優秀なリーダーほど、無駄な作業や過労につながる仕事を減らす努力をしています。

あまりにも時間がなかったり、過労を余儀なくされるものは、そもそも仕事を受けない(=自分のところで止める)という判断も必要になってきます。

私は、勤務している会社のインターンシッププログラムで、海外のプランニング会社で半年間働く機会がありました。ユニークなアイデアと解決力を売りにしているカナダの企業でした。

そこの経営陣と話していて驚いたのは、実際に引き受けるのは、来た仕事の半分にも満たないということです。

仕事の中身、目的、予算、納期などを鑑みてジャッジをしていました。

取引先からの依頼を断るというのは、日本では勇気のいることです。断らないことが取引先との信頼の証となりますし、人間関係などいろいろなことが気になります。

しかし、ワークライフバランス重視、労働時間削減の時代の流れを反映し、今までのやり方を変えていかないといけません。

仕事を選べば、チームのモチベーションも上がる

仕事を選ぶことは、結果として労働環境が良くなり、チームのモチベーションもパフォーマンスも上がります。私が半年働いたそのカナダの会社も仕事を取捨選択することで、成長を続けていきました。

リーダーにとって目の前の数字は、それがいくら小さい額だとしても、しっかり取って積み重ねていきたいものです。だから、決断するには勇気がいることです。

別の例として、私の行きつけのイタリアンレストランがランチ営業を突如やめてしまいました。

話を聞くと、労働環境改善が理由でした。昼にお店をオープンするには、朝10時ぐらいからスタッフが集まることになり、夜は遅くまで営業が続きます。ランチの売り上げを考えると、オーナーとしては苦渋の選択だったようですが、思い切って廃止しました。その代わり、18時スタートだった夜の営業を17時からに変更したそうです。