部下ができると褒めるだけではなく叱る必要も出てくる。山本渉さんは「昭和のような頭ごなしの叱り方は論外で、ビジネスの場で叱ってはダメ。特に新卒社員を含むZ世代には、苦言の前後を褒め言葉で挟むテクニックが有効だ」という――。

※本稿は、山本渉『任せるコツ 自分も相手もラクになる正しい“丸投げ”』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

投資を計画するためのグラフで収益について話し合う2人のビジネスパーソン
写真=iStock.com/Bhutinat Supin
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だから家康は天下を取れた、部下を潰さない叱り方5カ条

「徳川家康の叱り方」というのが、SNSで話題となっていたことがありました。発信元によって多少差がありますが、大きくはこのような内容です。

・本人だけに伝える
・やわらかい言葉で伝える
・最初に今までの功績を称えて感謝する
・最後にこの先も期待していると伝える
・家来への叱責は自分への戒めと捉える

ネットで称賛されていたもので、史実なのか定かではありませんが、現代にも通じる相手を配慮した「叱り方」であることには間違いありません。

人に仕事を任せるためには「褒め方」にも工夫が必要です。

しかし、ビジネスでもプライベートでも褒めているだけなら楽なのですが、現実はそうはいきません。

「頼んだことを全然やってくれなかった」
「やってくれたけど酷い内容だった」
「何度も同じミスをする」

誰も望まないですが、このようなケースに遭遇することもあるでしょう。褒めるだけでは対処しきれません。

パワハラだと思われないように叱るにはどうすればいいのか

また、叱ることでパワハラにならないか、相手が会社を辞めてしまわないか、と心配になる人も多いです。

前述の徳川家康の叱り方ではないですが、「叱り方」にも作法がありますので、ここからは「正しい叱り方」に関して解説していきます。

まず結論からお伝えすると、ビジネスの場で叱ってはダメです。

では、スルーするのかというと、そうでもありません。

相手の状況に応じて「指摘」「指導」「誘導」をします。

呼び方の違いではあるのですが、「叱る」という言葉には、「コラっ! 違うだろ! 何度言ったらわかるんだ!」というように、上から目線で怒っているイメージがあります。

例えば、子どもが道路に飛び出そうとした際に「コラっ! 危ないでしょ!」と叱る。これは必要なことかもしれませんが、ビジネスの場で大人に対して「叱る」という感覚には適していません。

これでは、アンガーマネジメントができていない上司になってしまいます。