アルファードやランドクルーザー、レクサスLXといった高級国産車が盗まれ、行方不明になる被害が相次いでいる。犯行にかかる時間はわずか数分と、手口は年々巧妙化しており警察も手を焼いている。マイカーを守るにはどうすればいいのか。フリーライターの一木悠造さんが取材した――。
キーがなくても10分足らずで盗み出せる
帽子にマスク姿の3人組が深夜の住宅街に現れた。3人は駐車してある高級車に狙いを定め手際よく作業に取り掛かる。1人は防犯カメラ位置を確認しレンズに目張り。1人は電子機器のようなもので運転席ドア近くで何かをしている。
もう1人は辺りを見回し監視。ドアを開けた犯人は素早く乗り込み、キーがないのになぜかエンジンを始動させ他の2人も乗り込み立ち去っていった。10分もかからない手慣れた犯行だった――。
こうした自動車盗難が日本各地で発生している。警察庁によれば、日本の自動車盗難台数は2000年前後の6万台前後を記録して以降激減、ここ数年は年間で5000台前半で推移しているものの、2021年を底に増加傾向にある。
盗難ランキング上位5位は常連
台数はピーク時の10分の1ほどになった自動車盗難だが、盗まれる車の種類は限定されている。自動車盗難を取材し続けている、自動車生活ジャーナリストの加藤久美子さんは、2023年の警察庁発表のデータと損保協会のデータを組み合わせてランキングし、最近はどの国産車が盗まれているのかを明らかにした。
なお、損保協会のデータは「車両保険を支払った台数」、警察庁のデータは車両本体盗難で被害届が出された件数(=認知件数)。未遂は含まれていない。
トップ5は最近の自動車盗難では必ずランク入りする窃盗犯が最も好む車種だ。いわゆる軽トラックも上位に含まれているのは意外な気がする。なぜこうした車が狙われるのか。加藤さんが説明する。
「ランクルとかの盗難がすごく増えているという印象がある。ミニバンのアルファード、ランクルは非常に走破性能も耐久性も高くて紛争地域での活躍が期待される車なんですよね。モンゴル経由とかUAE経由でロシアに輸出されているだろうなとみています」