同じ事実も、考え方で大きく変わる

そして、それはアドラー心理学に通じる考え方でした。

コーチングはアドラー心理学ととても相性がいいです。

コーチングでは、過去がどうであれ、

「今のあなたはどうしたいの?」
「どんな未来になっているといい?」

という切り口の質問をします。

これは、アドラー心理学と同じ考え方が基盤となっています。

というのも、アドラー心理学の特徴に、「未来思考である」というものがあります。

アドラー心理学には「目的論」という考え方があり、「人間の行動や感情にはすべて目的がある」といいます。

一方、心理学者フロイトの唱える「原因論」は、「人の行動や感情には必ず原因がある」という考え方をします。これは未来ではなく過去思考です。

目的論と原因論をわかりやすく説明すると、次のようなことです。

・プレゼンで失敗した過去があり、もう恥をかきたくないから(目的)人前で話すことに緊張してしまう。

これは「目的論」(未来思考)です。

・プレゼンで失敗した過去があるから(原因)、人前で話すことに緊張してしまう。

これは「原因論」(過去思考)です。

「プレゼンで失敗した過去がある」「緊張する」という事実はどちらも同じです。ひとつの事実に対し、原因論で考えるか、目的論で考えるか、それは自分で選べます。

アドラー心理学では目的論を尊重します。

なぜなら原因論で考えると、未来は変えられないからです。

「自分の性格がこうだから」と自分で自分に制限をかけていないか

先ほどの事例で言えば、原因論で考えると、プレゼンで失敗した過去がある限り、「緊張してしまう自分」からは逃れられなくなります。

ただ、目的論で考えると、「もう恥をかきたくない」という目的さえ変えれば、行動を変えることができます。

「恥をかいたっていい。しっかり準備をして自分の力をすべて出し切ればいい」と思うことができたら、プレゼンも怖くなくなるでしょう。

私は、この考え方で人生に目的を持つことができました。

あなたは、「自分の性格がこうだから」「これまでの実績がこうだから」「これまでやってみた経験がないから」と自分で制限をかけていないでしょうか。

それは目的さえ変えれば、いつからでも変えられるということです。