長生きする人は何が違うか。医師の和田秀樹さんは「100歳まで生きる人の最大の共通点は『わがまま』であることだ。相手に合わせることはストレスであり、それだけで寿命が縮まる。ただ、あまりにわがままだと家族に疎まれるので、子どもとは違い道理を伝え新しい出来事も受け入れる、かわいく柔軟性のあるわがままを目指したほうがいい」という――。

※本稿は、和田秀樹『100歳の超え方』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。

高齢の母親とビーチで散歩する若い女性
写真=iStock.com/Dean Mitchell
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5歳下でも60歳下でも「年下の友達」をつくろう

高齢になってもお元気な方の共通点は、何より年下の友達がいることです。高齢になればなるほど、親しい人とのお別れを重ねてさびしくなります。

友達がいなくなると嘆く人が多いと書きましたが、年下に友達がいれば先に逝かれることも少なく、たいていの場合はあなたのことを見送ってくれます。

年下の友達が大事と考えて思い浮かべたのは、2021年に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんです。寂聴さんには晩年、66歳下の瀬尾まなほさんという秘書がいました。

寂聴さんは若い秘書から新しい知識や感覚を取り入れていたと思います。瀬尾さんが着ていた服を「私も着たい」と購入したこともあるそうです。

寂聴さんが瀬尾さんという若い秘書を大事にしたのは、彼女から思ってもみないエネルギーをもらっていたからでしょう。同世代が集まると、病気の話や死んだ仲間の話になりがちですが、年が離れている友人からは、いま現実に若い世代が何を考えているか知ることができます。

小説家の寂聴さんだけではなく、私たちも違う世代の興味や悩みを知ってみるのは社会を見るうえで役に立ちそうです。

最近は、お孫さんのサポートでユーチューブなどで発信をする高齢者も増えました。

よく聞くのは、「娘にスマホを教えてもらおうとしても、すぐに喧嘩になる。孫のほうが丁寧に教えてくれる」という話です。たぶん、子どもとはうまくいかないという話ではなく、世代によるIT知識の差なのかもしれません。

孫世代は息をするようにスマホを使いこなしますから、教え方も上手なのでしょう。娘さんの世代はやっと情報を受け取ることが当たり前になった世代なので、苦手な相手に教えることが雑になるのだと思います。

5歳下でも60歳下でも年下の友達を持っていると、刺激を受けますし、もしかしたら最後のときに大事な役目を任すことができるかもしれません。