高齢者にはやさしいのがいまの若い人たち

そんな若い友達はどこで探したらいいのか、と聞かれます。

手近なところでは、孫がいたら仲良くなっておきましょう。孫は、親に反発しても祖父母には心開く場合が多いです。

孫娘と話す祖母
写真=iStock.com/JGalione
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そのためには、あなたが聞き役をしなくてはいけません。親というのは忙しくて、子どもの話をきちんと聞いていないことが多いのです。反抗期ともなれば、親に悪態をつくようになります。

でも普通はみんな、いい子がベースにあります。特に高齢者にはやさしいのがいまの若い人たちです。孫のいい面を引き出すという役目も高齢者にはあります。

友達というものは一方通行ではありません。受け取るばかりではなく贈らないといけないのです。贈りものはお金やものだけではありません。相手の話を聞く、励ます、心配するというのも大きな贈りものです。

また、若い人を育てるという気持ちも大事です。

寂聴さんは、若い秘書から養分を受け取りながら、彼女を励まし、育て、一人前の大人にしていきました。ただ若さを利用するだけなら感謝はされなかったでしょう。高齢者には次世代を育てるという役目があります。

ただし、男性はちょっと注意してください。

その役目を勘違いしやすいのが男性です。

たとえば、若い人に過去の自分の栄光を自慢してしまいます。「昔の私ならこんなこと簡単にやったのに」「30代でプロジェクトを率いていた」「まったく最近の若い者はなっとらん」と言っている男性をよく見かけませんか? こういう男性は年下どころか、同世代の友達もできにくいので孤独になります。

昔の栄光は捨てましょう。いま何に興味を持っているのか、何が好きなのかが大事です。過去ではなく、いまを楽しんで生きると人は趣味を通じて友達ができます。

年下の友達ができる人の共通点は、いまを楽しんで生きている人と言えるでしょう。

100歳まで生きる人の最大の共通点は「わがまま」であること

友達が必要だと聞くと、たくさん友達をつくろうとする方がいます。

デイサービスや趣味の会で雑談するのは大事なことです。日々のお喋りは大事にしてほしいと思います。でも、全員とはお友達になれません。

サービス精神が旺盛な人は、誰にでもやさしく全力で会話を盛り上げようとします。そうして疲れてしまい、「もうデイサービスに行きたくない」となることもあります。高齢になったら、みんなに好かれたいという気持ちは捨てないといけません。

友達は、ひとりでもふたりでも良質な関係を大事にしましょう。高齢になると、手紙もメールも面倒になるものです。実際問題として交際範囲が広いと疲れます。

人づき合いにはメリハリをつけることが大事です。その場その場で挨拶だけする人、お喋りする人、手紙を書いてやり取りをする人、距離を取りたい人。いろいろな人がいるはずです。

100歳まで生きる人の最大の共通点は、「わがまま」であることだと私は思っています。90歳を過ぎてわがままでない人などあまりいません。もうすぐこの世とおさらばするのに、なんで人に気をつかわないといけないのでしょう。

あるおばあちゃんは、外では愛想がよく、家の中では無口でわがままだったそうです。愛想がよくても、気に入らない人の電話には居留守を使う。友達の葬式も欠席する。年賀状はそうそうにやめる。子どもたちは、人づき合いが好きではない人だと思っていたそうです。ところが、亡くなったあとにたくさんの手紙が出てきました。

それは遠くにいる友達とのやりとりだったそうです。その友達とおばあちゃんは、手紙の中で、どんなドラマや本が面白かったかと情報交換をしていたり、愚痴を打ち明けたりしていました。

子どもたちは「わがままな祖母だったけど、よい友人がいたんだな」と気がついたそうです。

おばあちゃんは99歳で亡くなり、手紙のやり取りをしていた友達に連絡するとこちらも97歳でまだお元気だったそうです。

わがまま上等です。口をききたくないときは黙っていましょう。人にどう思われても、私たちの向かう先はひとつです。好きな人とだけつき合う。

長生きの秘訣ひけつは、相手に合わせない、協調しないということです。相手に合わせているだけで寿命が縮まります。相手に合わせるというのは、ストレスなのです。ストレスは病気のもとになります。好きな人とだけつき合う、いいところだけいただいてよいのです。