結婚相談所には60代以上の相談者が訪れることも珍しくない。主宰する結婚相談所でカウンセラーを務めている大屋優子さんは「私の結婚相談所を訪れた68歳の女性は、子供を安心させたいという動機で婚活をスタートさせた。アプリの意味を知らないほどITリテラシーが低かったが、身の丈にあった婚活に励み、4カ月で成婚した」という――。

※なお、本稿は個人が特定されないよう、相談者のエピソードには修正を加えている。

高齢の女性
写真=iStock.com/recep-bg
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一大決心をして結婚相談所を訪れた68歳の女性

人生100年時代。

結婚してパートナーを見つけたいのは結婚適齢期の人たちばかりではない。60代でも、70代でも、幸せを求めて結婚相談所で婚活するかたは、年々増えている。

私の結婚相談所にある日やってきた、68歳のバツイチ女性。

東京から車や電車で二時間ほどの距離にある、リゾート地からはるばる訪ねてきた。聞いてみると、私のところに来るまでに一年間も悩んで、考え、迷いながら、勇気を振り絞って、やっとこの日の約束でやってきたのだという。

「人生の一大決心で来たんです」

そういう彼女は、あるホテルに住み込みの清掃員としてもう10年以上働いてきたのだそうだ。小柄で、華奢。手首は折れそうなほど細い。家事をしているに違いないその手には、たくさんのシワが刻まれている。

年齢を重ねると、痩せている人はふくよかな人より、どうしてもシワが目立つ。彼女は小枝のようにスリムだから、首や手のシワは年齢相応にあるのはしかたないこと。疲れた生活感はどうしても隠せない。

20代の初めにある地方都市で恋愛結婚し、子供を一人授かった。

当時はすでに「核家族」という言葉が日本社会に浸透していたが、住んでいる地域によっては、配偶者の親と同居という例も少なからずあったし、彼女はそれに近い形で、親世帯と同じ敷地内で新居を構えた。

そこには、元夫のまだ嫁に行かない姉も母屋で暮らしていたそうで、舅・姑・小姑に囲まれた生活は、別棟世帯とはいえ、息苦しいものであったに違いない。