婚活では高年収や有名企業の男性が人気だ。主宰する結婚相談所でカウンセラーを務めている大屋優子さんは「長時間労働で、不定期休みの飲食業の人は難航する。だが、相談に訪れた老舗寿司店の跡取り息子は、4人目に出会った女性と結婚することができた」という――。

※なお、本稿は個人が特定されないよう、相談者のエピソードには変更や修正を加えている。

握った寿司を出す板前の手
写真=iStock.com/Kohei Shinohara
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“老舗寿司店の3代目”が突然やってきた

結婚相談所の婚活は、お見合いに始まり、その後デートを重ねて結婚までの道のりを歩んでいく。だが、お見合いやデートは土日祝日になることが多い。休日が不定期で土日休みのない方は、結婚したい気持ちが強くとも、相手の休日に合わせて婚活に時間を使うことが難しいため、婚活が難航することが多い。

今回は、コロナの恩恵により思いがけずに婚活に集中でき、幸せを掴んだ“コロナ恩恵婚”の話である。

東京・浅草の3代にわたり続く老舗寿司店の3代目となる35歳男性。たまたま遊びに行っていたときに私のオフィスの前を通りかかり、婚活したいとやってきた。見かけは、どこにでもいそうなごく普通の男性で、聞けばバツイチだという。客商売をしているだけあって、ニコニコとしたチャーミングな笑顔に、穏やかな返答。彼を嫌う人は、きっとどこにもいないはず。人当たりはとても良い。

前の結婚は、学生時代にお付き合いしていた女性とそのまま結婚。幸せに暮らしているつもりになっていたのは彼だけで、彼女は仕事で忙しい彼を待つ暮らしに寂しさを募らせて、彼女の方から一方的に離婚を切り出されてしまったという。

コロナで休業に追い込まれ、婚活にシフト

彼の寿司店は浅草の繁盛店。年収は500万円ほどで、ご両親、そして彼もカウンターに立ち、家族総出で店を切り盛りしている。彼のおじいさまが新潟県の田舎から東京に出てきて、寿司店で丁稚奉公から始め、独立。その後、おじいさまの後を、彼のお父様が引き継ぎ店主となった。おじいさまは数年前に他界したが、現在も長きにわたり、地元の人々はもちろん、観光客にも人気の寿司店である。

浅草という土地で長く続く店は、名店と言われる。その理由は、口やかましく、舌の肥えた人々が多い土地柄だからだ。料金も味に見合うものでなければ悪評が立ち、あっというまにつぶれてしまう。それが、浅草。そんな厳しい環境で、3代も続く店を経営しているのだから、彼の寿司店も言うまでもなく名店の一つ。

浅草には、有名な天ぷら屋さんや洋食店など、名店と言われる店がひしめき合っているが、それらの店は、たゆまぬ店主の経営努力によって支えられているのである。

折しも、この頃は新型コロナウイルスという未曽有の感染拡大に世界中が震撼している時期で、彼の店も東京都の要請により休まざるを得ない状況にあった。前から婚活したいと考えていた彼には、いまのこの休業中なら婚活に時間を費やせるのではないかと考えたそうだ。