ストレスを感じやすい人の思考様式とは何か。精神科医の和田秀樹さんは「例えば同じ職場環境でもストレスを感じやすい人は、『不適応思考』という歪んだ思考をしている。好きな人からの連絡に一喜一憂してしまう人、好きか嫌いかなど自分の感情状態が思考の根拠になってしまう人は要注意だ」という――。

※本稿は、和田秀樹『病気の壁』(興陽館)の一部を再編集したものです。

木製ブロックの笑顔と悲しい顔
写真=iStock.com/airdone
※写真はイメージです

良いストレスと悪いストレスの決定的な違い

うつの原因はストレスだと聞けば誰でも納得するかもしれません。現代の心理学ではよいストレスと悪いストレスがあると考えられています。

セリエという生理学者は、ある程度までのストレスは、人間を成長させたり、生産性をあげると考えています。このレベルのストレスは善玉ストレスと呼ばれます。

いっぽう、ある程度以上のストレスは、生産性を落とし、あまりにそれが強ければ、心の病の原因となります。

たとえば、受験などで、ある程度のプレッシャーがあれば勉強の動機になるけれど、過度なプレッシャーなら、かえって不安になって勉強の効率が落ちてしまいます。

さて、たとえば、このようにプレッシャーを与える親や、パワハラをする上司のことをストレスだという人が多いのですが、じつは、これは正確にはストレッサーといいます。

このストレッサーが引き起こす心の歪みをストレスと呼ぶのです。

ということで、同じストレッサーがあっても、あまりストレスを生じない人もいれば、強いストレスを感じて、心の病になってしまう人がいます。