「かくあるべし」に沿わないと非常に不快になる

9 情緒的理由づけ

自分の感情状態が、思考の根拠になってしまう思考パターンです。

たとえば気分がハイなときには、実際の株価の動きとは無関係に、上がるに違いないと思い、落ちこんでいるときには下がるに違いないと思ってしまう、それにしたがって売り買いしてしまうといったことがあげられます。

また、「好きか嫌いか」という感情で物ごとを決めてしまうのも情緒的理由づけ。好きな人の意見は正しい、嫌いな人の考えは間違っていると思ってしまうのです。

こういうことは意外に多くの人に見られる思考パターンですが、自分では気づきにくいものです。

10 ~すべき思考

たとえば「子どもは親の介護をすべきだ」「仕事が終わるまで帰宅してはいけない」と「かくあるべし」の考えに強く縛られることです。

こういう人は、自分を「かくあるべし」で律するので、それがうまくいかないと落ちこみやすく、うつになりやすいのです。

たとえば、「男は強くあるべきだ」と考えている人は、悩みがあっても人に相談することができず、ある日、ポッキリと心が折れてしまうこともあります。

こんがらがった思想に支配されてストレスを抱えている女性
写真=iStock.com/SIphotography
※写真はイメージです

さらにいうと、こういう思考パターンの人は、人が自分の「かくあるべし」に沿わないと非常に不快に感じ、人間関係を悪くすることも多いのです。

また、現代では部下に残業を押し付けてパワハラといわれかねません。

すべて「自分のせいだ」「手柄だ」と責めてはいけない

11 レッテル貼り

わかりやすいレッテルをつけてイメージを固定化する思考のことです。

たとえば栄転なのに、「地方に飛ばされた自分は負け組だ」などと自分にレッテルを貼るというケースでは、モチベーションがあがらず、常にドンヨリしてしまいます。

また、他者に対して「あいつは無能だ」などと決めつけてしまうこともあります。その人のよい点が目に入らないことから人間関係に支障をきたしてしまうのです。

12 自己関連づけ

物ごとにはさまざまな要因が絡んでいるのに、自分こそが最大の、あるいは唯一の要因だととらえる思考のことです。

たとえばサッカーの試合に負けたのは「すべて自分のせいだ」と自分を責める、あるいはサッカーの試合に勝ったのは「すべて自分の手柄だ」と得意になるなども典型的な自己関連づけです。

12種類の思考のどれにも共通しているのは「決めつけ」と「思いこみ」。

「さまざまな考えかたができる」「白と黒のあいだにさまざまなグレーを想定できる」ことを認知的複雑性が高いといいますが、不適応思考の人は認知的複雑性が低いために、どれもこれも当てはまるという人もいることでしょう。