毒母に育てられた現在40代の女性。結婚し、自身も3人の子を持つ母となった。自分が受けたさまざまな仕打ちの記憶は鮮明で、母親を反面教師にしてきた。だが、子供に対する自分の言動の中には母親から受け継いでしまった毒が含まれていた――。(後編/全2回)
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娘婿に色目を使う母親
幼少時から、日常的に両親からさまざまなDVを受けてきた谷中紗里さん(仮名・40代・既婚)は20歳の時、同じ公務員でひとつ年上の男性と交際に発展し、24歳で結婚。25歳で長男を出産し、3年後に長女、その3年後に次男を出産した。
「両親(当時50代前半・40代後半)からは結婚については反対されず、かといってすごく喜ぶわけでもなく、『こんな子をもらっていただきありがたい』としきりに言っていました。きっと親は純粋に喜んでいたというよりは、親戚やご近所への体裁を繕い、自分のプライドを満たしたかったんだと思います。ずっとバカにしたように、『まだ結婚しんのか?』としつこく言われ、結婚すればしたで、『孫はまだなんか? ホントダメやの〜』と嘲笑されていたので、私自身には無意識に期待に応えなければという気持ちと、見返したいという気持ちがあったかもしれません」
結婚後、谷中さんが結婚式の写真を見せに実家を訪れると、母親は娘婿だけが写っている写真を欲しがった。
「親にとって娘の花嫁姿って感慨深いものではないでしょうか? 母親なら娘の写真を欲しがるものだと信じて疑いませんでした。これまでの多くの仕打ちから考えたらそんなワケないのは今なら容易にわかりますが、それだけ感情をマヒさせて蓋をして、なかったことにして生きてたんだと思います」
その後母親は、娘婿に会う度、デレデレベタベタ。もちろん嫉妬深い父親が不在のときに限るが。
「娘婿に色目を使って娘と張り合うとか、本当に母親なんでしょうか? ただの女ですよね? 本当に呆れました……」