毒親に育てられた人は、今どのような人生を歩んでいるのか。ノンフィクション作家の中村淳彦さんの著書『私、毒親に育てられました』(宝島社)より、61歳の美智子さんのケースを紹介する――。
「鈴木先生、美智子ちゃんのことをよく見にくるよね」
父親の性的行為とマスターベーションは、ずっと続いた。よくないことだとわかっていたので、母親にはなにも言えなかった。
そして、美智子さんに対する大人たちの性的虐待は、父親の悪戯だけでは終わらなかった。
「その頃、友だちが『鈴木(仮名)先生、美智子ちゃんのことをよく見にくるよね』って。『覗いていつも探しているよね』」って。小学5年生のときにほかの学年の先生が、よく私のことを覗きにくるようになった。ストーカーみたいな感じで」
現存する足立区立の小学校での、51年前の話になる。鈴木教師は30代後半、メガネをかけた地味な教師だったという。
美智子さんは、いつも赤いネクタイをしていたのを覚えていた。
ガバッと後ろから抱きつかれて、乱暴に胸を揉まれて…
「私、5年生のときに図書委員だったんです。図書委員は交代で放課後に図書室を掃除する。それで、放課後に図書室で一人で掃除をしているとき、突然鈴木先生が後ろからドンッてきた。ガバッと後ろから抱きつかれて、乱暴に胸を揉まれて、パンツを脱がされて激痛がした。ドンとかズンとか、そんなすごい痛み」
鈴木教師は図書室に誰もいないことを確認し、音を立てないように内鍵をかけ、掃除をしている美智子さんに後ろから抱きついた。欲望のままに胸を揉み、パンツを脱がして性器を悪戯する。興奮しながら自分のズボンを脱ぎ、隆々とした男性器を露出させ、お尻を鷲掴みしてバックの体位から挿入した。