離婚率は高いが「離婚した女性」への視線は厳しい

日本では徐々に離婚率が高まっており、今では3組に1組の夫婦が離婚するとも言われています。それでも、日本はまだマシで、韓国での離婚率は今や50%近くと言われています。IMF前は、離婚というのは芸能人か特別な人がするものでしたが、現在の韓国ではごく普通の出来事になっているのです。

呉善花『韓流映画・ドラマに見える下剋上の韓国』(ビジネス社)
呉善花『韓流映画・ドラマに見える下剋上の韓国』(ビジネス社)

IMF経済危機によって働く女性が増え、それが離婚率の急増をもたらしました。ただ、離婚することが普通になったとはいえ、離婚女性に対する偏見が消えたわけではありません。韓国には今も、離婚女性に冷たい風潮があります。特に、離婚女性に対する男性からの視線は、依然として厳しいと言えます。

プロ野球選手のチョ・ソンミン(趙成珉)さんと人気女優のチェ・ジンシル(崔真実)さんのケースは、その典型でした。チョ・ソンミンさんは、アマチュア時代から高い実力を発揮していたピッチャーでした。1995年には日本のプロ野球界入りし、読売ジャイアンツで活躍しました。2000年には、チェ・ジンシルさんと結婚しましたが結婚前から右肘を故障し、期待されたほどの成績は残せませんでした。そして2002年、記者会見を開いてチェ・ジンシルさんと離婚したいと発表しました。

離婚の理由に関しては、明らかになってはいませんが、チョ・ソンミンさんはチェ・ジンシルさんに対する暴力容疑で逮捕されてもいます。また、チェ・ジンシルさんの親族に借りたお金が返せず、裁判沙汰になったとも報道されました。それらの情報を総合すると、非はチョ・ソンミンさん側にありそうです。

離婚後、心のバランスを崩してしまい…

そうした事情があって、チェ・ジンシルさんは2003年、離婚調停を申し立てました。それから苦労の末、2人の子どもに対する親権と養育権を獲得しています。不利な条件を受け入れようやく離婚できたチェ・ジンシルさんに世間は冷たく、知人俳優との金銭トラブルに関するネットの悪質な書き込み等でもさらに苦しみました(*6)

韓国社会は、離婚した女性に厳しい目を向けがちなのです。チェ・ジンシルさんは離婚後、心のバランスを崩してしまったと言います。そして2008年10月、彼女は自殺してしまいました。当時は、うつ病になって精神安定剤を服用していたとも報道されています。彼女を自殺に追い込んだ原因は、私にはわかりません。

ただ、その一つは離婚女性に対する冷たい仕打ちではなかったかと思えてなりません。

(*6)J-CAST ニュース:チェ・ジンシル「ネット中傷自殺」が契機 韓国で「サイバー侮辱罪」導入 2008年10月6日 

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