ギャルファーに怒り心頭のおじさん
「打つ度に、キャーキャーうるさい。カートもクラブも置きっぱなしにして。だいたい、あのミニスカはなんなんだ? ゴルフをするような格好ではないよ。ゴルフ場で合コンをするのはやめてほしい」(50代経営者)
女性ゴルファーに怒り心頭のおじさんゴルファー。練習に練習を重ね、日々の職場でも、つい素振りをしてしまうおじさんにとって、グリーンで目の前を初心者のミニスカ女子にチョロチョロされたり、プレーを待たされるのは実に不愉快なのだ。
矢野経済研究所の調べでは、ゴルフ用品国内出荷数は、前年比99.6%(2008年)、91.1%(09年見込み)とマイナス成長にもかかわらず、レディース市場は、111.3%(08年)と大きく伸長している。背景には、高齢化と不況でゴルフ人口が減少し、ゴルフ会員権が、数十年前とほぼ同水準と、廉価になった。半年~1年は練習しないとゴルフ場に出てはいけないもの、とおじさんは考えてしまうが、初心者でもオープンに受け入れ、レッスンプログラムのリピーターにつなげるという、ビギナー獲得を狙うゴルフ場もある。
宮里藍、横峯さくらなど若くておしゃれな女性ゴルファーの出現が、巷のOLにとってゴルフへの興味を大きくした。俗にギャルファーとも呼ばれる女性ゴルファーのおよそ6割は独身だ。高級レストランへ行くなら、ゴルフのほうが健康的だし、出会いもある、と考えている。
最近、ゴルフを始めたというOLたちに話を聞いた。
「男性と一緒に楽しめるのがいい。ゴルフをすると人柄が出るから、合コンで出会った男性を見極めるのにはゴルフが一番。親身になって教えてくれるか、周りへの心遣いがあるかがポイントです」と、将来のパートナーとしての判断材料にするケースもある。
ほかにも「食事会で会った経営者に同僚とみんなで連れていってもらうことが多く、送り迎えからプレー料金、その後の食事もご馳走になれて、しかもスイングの指導もしてもらえてラッキー」
「上司やクライアントに勧められて始めました。ふだん話さない上司や同僚ともコミュニケーションをとることで仕事もやりやすくなるんですよ。車で行ける郊外の練習場は開放的で気持ちいいからハマッています」
30代の女性をターゲットにしたゴルフ雑誌「レジーナ」の編集長・麻生富貴さんは、「創刊した4年前は『スコアより、ウエアです』をモットーにしていましたが、現在では『ウエアも、スコアも、本気です』になっています。読者からのもっとうまくなりたいという声を反映したのです」
レジーナ読者の平均スコアは、110。その3割はなんと90!
もはや日本の女性ゴルファーの腕前は男性並みだ。女性のゴルフと聞いて甘く考えているおじさんもうかうかしてはいられない。女性のほうが何事にものめり込みやすく、極めるのが早い傾向があると麻生さんは言う。読者の女性がグリーンに出るのは平均月1~2回、毎週の土日のどちらかは練習に行くという本気ぶりだ。麻生さんは、
「これはグリーンの上に限ったことではありませんが、同じことをしても女性ばかりが非難を受ける。むしろゴルフ場の決して高級ではないレストランで、おじさんたちがウエートレスを叱り飛ばしているほうが問題なのではありませんか(怒)。たとえば、キャディさんをちゃんと名前で呼びかけるなど、お互い相手のせいにするのではなく、マナーをしっかり守って楽しくプレーしたいですね」
※すべて雑誌掲載当時