売れる営業はどこが違うのか。元リクルート全国トップ営業の渡瀬謙さんは「営業の電話をかけるときは『お世話になります』『お忙しいところすみません』を絶対に使ってはいけない。なぜなら、テレアポのキモは、お願いより『リサーチ』にあるからだ」という――。

※本稿は、渡瀬謙『静かな営業』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

リクルートホールディングスが登記上の本社を置くリクルートGINZA8ビル=2021年2月8日、東京都中央区
写真=時事通信フォト
リクルートホールディングスが登記上の本社を置くリクルートGINZA8ビル=2021年2月8日、東京都中央区

自己紹介を変えるだけで仕事が入ってくる

このコラムでは、具体的な営業テクニックについてご紹介していきたいと思います。まずは「自己紹介」です。

あなたは自己紹介が得意ですか? というよりも好きですか?

私はずっと大嫌いでした。学校に行っていたときも、クラス替えのたびに自己紹介タイムがありましたが、嫌いというより恐怖でした。

自分の順番が来る前に何を言うかを考えなければなりませんから、そもそも人の話なんて聞いている余裕はありません。そして実際に自分の順番になると、頭が真っ白になって自分の名前を言うので精いっぱい。汗だくになって着席する。毎年、同じことを繰り返していたものです。

いま思えば、自己紹介は毎年あるのですから、何を言うかをあらかじめ考えておけばよかっただけの話です。

そしてまさに、「準備しておく」ことで大きな効果が得られるのが、営業における自己紹介なのです。実際、自己紹介を変えるだけで仕事がバンバン入ってくるというのは、本当にある話なのです。

初対面の際、「社名と名前」だけで商品は売れない

初対面の相手と接する際、あなたはまず、何を言うでしょうか。

多くの人は、まず社名と名前を言うと思います。そのまま「お時間いただきありがとうございます」などと言って、いきなり商談に入る人がほとんどではないでしょうか。

でも、社名や名前を言うだけで、あなたの商品は売れますか? まず売れませんよね。興味すら持たれないと思います。

ということは、その情報は営業的には価値が低いということです。

かといって、いきなり趣味の話とかをしても、相手はいぶかしがるだけでしょう。そもそも、「静かな人」「控えめな人」にとって、趣味の話をスラスラと話すなんてできっこありません。

だからこそ、事前に準備して、短い言葉で最も営業的な価値の高い自己紹介をすべきなのです。

こうすることで、自己紹介は苦手なものから、強力な営業活動に変わります。