電子レンジ調理の第一人者である村上祥子さんは、料理研究家歴60年。夫を亡くし、ひとり暮らしも12年目。84歳になった今、村上さんは「最後の最後までしゃんとしていたい。そのためには手間をかけず三食しっかり食べることが大事」という――。
本稿は、村上祥子『84歳。食べて、歩いて、カッコよく生きる』(プレジデント社)の一部と、2024年のインタビューを再編集したものです。
目の前のことだけで考えず、常に視野を広く
村上さんにとって仕事は楽しいこと。約60年、料理研究家として働いてきたが、それはたくさん稼ぐためではない。「スタジオやスタッフの費用を賄い、赤字にならないこと。それだけで十分」だと言う。働く意味は、求められることに応えること、社会を少しだけ変えること。料理教室を初めて開いたときからずっと心に抱いている想いだ。それは、おいしい料理をつくるだけでなく、料理を通じて人と出会い、自分も幸せになる――それらがすべてに当てはまる。
「世の中の役に立つことをやっていれば、それに目を留める方が現れます。あれもこれもと関連することを続けていくうちにお金も回っていくようになるんですよ」
村上さんの考え方は、まさに“三方良し”。近江商人の経営哲学として知られる「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三方が満足する考えと同じ。そうやって、顧客の信頼を得、次々に新たな仕事を生みだしてきた。



