80歳超でも活躍する秘密は好奇心と探究心
元気いっぱい、いつも忙しく動き回る村上さんの元気の秘訣は何といっても好奇心と探究心だ。世の中に電子レンジが登場したときもいち早く目を付けた。なぜ温まるのか、どうすれば使いこなすことができるのか研究し尽くし、レンジ料理を考案して料理本をつくったり、大豆ミートなど新しい食材が登場すればレシピ開発を怠らない。目の前で起こることすべてに目を向け、「なぜ?」を考え続けることが村上さんの元気の源であり、80歳を超えて尚、第一線で活躍し続ける理由だ。
「ずっと働き続けてきましたが、大好きな料理の仕事ですから疲れることはありません。大腿骨を骨折して入院したときも、治療の過程や看護師さんの働き方を見たり、入院食の写真を撮ったり栄養計算をしたりで興味津々。先日は、ある出版社の方がびっしり書き込んだ私のスケジュール帳を見て、『見ただけで疲れる』って。でもね、エネルギーは天下の回りもの、使えば使っただけ入ってくるのだから、出し惜しみしないほうがいいのよ」と笑う。
村上さんは、どんなときでもじっと休んでいることはなく、エネルギーに溢れている。82歳のとき、スタジオで滑って転んで大腿骨を骨折した。手術を受け、翌日からリハビリをし、10日後に退院。自宅に戻った翌日には動画の撮影をし、その週末には大分、神戸、京都へとひとりで移動して講演会をこなした。骨折から2週間ほどでこんなにあちこち出歩く80代はいないだろうが、「忙しく飛び回ることがリハビリなの」と村上さんはさらりと言う。
ムラカミ流「人生の続け方」
1989年、福岡市内に1階は駐車場、2階は料理スタジオ、3階はプライベート空間という、自宅兼料理スタジオを構えたことをきっかけに仕事はしやすくなったが、当時、家族5人の生活を想定して用意した家。3人の子どもが独立した後、夫とふたりで暮らしやすいように、そして、オンとオフを切り替えやすいようにとリフォームした。娘の部屋を約7.5畳のリビングキッチンにつくりかえ、無駄な動きを減らし、家事をラクにするシンプルな暮らしを実践している。
「大切なのは、『人生の仕舞い方』ではなく、最後まで人生をどう続けるかです。シンプルにするのは“食べる”ことも同じ。料理が面倒なら、出来合いのお惣菜でもいい。そこに、野菜や肉・魚などの小分けにした冷凍パックを足せば野菜やたんぱく質不足も解消できるし、レンチンだけで調理できてしまいます。食べることは生きること。食べない選択はありません。シンプルに簡単に三食食べる、そして自分の足で歩くことが、人生を続ける基本なのです」
夫が旅立ってから12年。毎日朝5時に起き、にんたまジャム®入りミルクティーを飲み、足腰を鍛えるためにトランポリンを100回飛ぶ。仏壇に手を合わせ、朝食を摂り、部屋を掃除し、風呂へ。身支度を整え、9時には2階の料理スタジオへ降りていく。それから夜の9時まで働きっぱなし、立ちっぱなし。仕事を終え、3階の居住スペースに戻り、夕食を摂って、眠るのは毎夜11時~12時だ。
「毎日、とにかくよく歩いていますよ。スタジオでの撮影や料理教室は立ち仕事。1日1万7000歩は軽く超えます。ある講演会の時に体組成計で調べてみたところ、筋肉量はアスリート並みだったの」
歩くだけではなく、10kg超えの荷物でさえ、自分で持つという村上さん。「講習など外部の仕事でアシスタントをつけることはありません。出張するときも資料やサンプル品、食材や調理器具を大きなバッグに詰め込んで、ひとりで飛行機や電車で移動します。いつも仕事先で『ひとりで来たんですか⁉』って驚かれます(笑)」。
外出はもちろん、撮影や料理教室でもヒールの靴を履き、重い荷物も自分で運ぶ。これが、足腰を鍛える“運動”になっているという。
「子どもたちには『運動神経ゼロのお母さん』と言われてきましたが、毎日ごはんを作り続けるだけでも、筋肉は付くのだと実感しています」



