日本列島はどの場所でも地震が起きるリスクを抱えている。京都大学名誉教授の鎌田浩毅さんは「甚大な被害が出ると危惧しているのが、日本海溝・千島海溝地震だ。M9.1またはM9.3の巨大地震が起き、日本海側の広範囲に大津波が襲来すると想定されている」という――。

※本稿は、鎌田浩毅『オタク科学者の超コミュニケーション術』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

東日本大震災による津波で壊滅した市街地
写真=iStock.com/RyuSeungil
※写真はイメージです

東日本大震災は「寝た子」を起こした

なぜ私のような科学者がコミュニケーションについてこだわり続けたか。これから起こるだろう災害について皆さんにわかりやすく伝え、自分ごととしてとらえて、準備してほしいからである。

東日本大震災以降、日本は「大地変動の時代」に入ってしまった。「大地変動の時代」にどんなことが起こるか、地球科学の専門家として私が皆さんへいちばん伝えたいことを記す。

2011年に東日本を襲ったマグニチュード(以下、Mと略記)9の地震は、日本の観測史上最大規模であるだけでなく、千年に一度起こるかどうかという非常にまれな巨大地震だった。

東日本大震災のあと、「大きなエネルギーが解放されたから、もうエネルギーは残っていないのではないか」といった憶測を呼んだ。私のもとにもそのような質問が相次いだが、まったく違う。この地震はむしろ「寝た子を起こしてしまった」のである。

この地震によって日本列島の地盤には大きなひずみが残され、そのひずみを解消するように、静岡県や長野県、熊本県、石川県能登地方など各地で直下型地震が発生しているのだ。