事業計画通りに売上が伸びないとき、どうすればよいのか。アスクル創業者の岩田彰一郎氏は「アスクルは当初、自社商品の売上を伸ばすための事業だったが、実際は他社商品ばかり売れた。その理由は、取引先を訪問したらすぐに分かった」という――。

※本稿は、岩田彰一郎『起業家になる前に知っておいてほしいこと 経営の難問を乗り越えるたった一つの考え方』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

契約を勧めるビジネスマンと断る顧客
写真=iStock.com/takasuu
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売りたかった自社商品が不人気

アスクルは、どうすれば競合他社に勝てるかを考えたところから生まれました。

しかし、いざアスクルを立ち上げると、早々に、競合他社に勝つことばかり考えていては事業を成長させることができないことに気がつきました。

今でこそ、アスクルは日本の大半の主要メーカーの事務用品はもちろん、オフィスや飲食店、病院、工事現場など、さまざまな職場で使われるありとあらゆる商品を取り扱っています。しかし、創業当初は、ほとんどプラスの事務用品しか扱っていませんでした。

中小企業向けの通信販売のダイレクトモデルとして考えていたので、全体の1割程度はプラス以外の商品も売っていましたが、トイレットペーパーやティッシュペーパーなど、事務用品以外のものでした。立ち上げの目的が、プラスの商品を拡販し、業界最大手のメーカーに勝つことだったからです。

ところが、サービスを開始すると、私たちが望んでいなかったことが起きました。

お客様から「『明日届く』のは便利だが、プラスの商品ではなく、ライバル会社の商品が欲しい」という問い合わせが次々と寄せられたのです。

しかも、お客様から最も要望が多かったのは、打倒を誓った最大手メーカーの商品でした。

自社商品を勧めても「買ってもらえない」

他社の、しかも最大手メーカーの商品が欲しいといわれても、おいそれと扱うわけにはいきません。プラスが扱っていない商品ならまだしも、お客様が欲しがった商品は、ファイルや伝票など、プラスでも用意しているものでした。

そうした問い合わせがあると、1年間ほどは、「プラスの商品も大変いいですし、値段も安くなっていますから、こちらをお試しになってはいかがですか?」と、プラス製品の販促に努めていました。お客様からも、「じゃあ、使ってみようかな」という言葉をいただくことも少なくありませんでした。

ところが、その後のお客様の購買履歴を調べると、プラスの商品を勧めたお客様のほとんどが、その商品を購入していませんでした。

電話ではあんなに好感触だったのに、なぜ買っていただけないのか?

なぜ、プラスの商品ではいけないのか?

理由を知りたかった私は、お客様にお願いして、直接訪問してお話を伺うことにしました。

すると、お客様の事情がわかってきました。