2023年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。家計・節約部門の第3位は――。(初公開日:2023年6月17日)
「ふがいないきょうだい」にはどう接すればいいのか。59歳の女性は、「長男はワル、次男はバカ、三男はクズ」という3人の兄に長年苦しめられてきた。母親が「もう関わりたくない」と話すほどの兄たちとは、どんな人物なのか。ライターの吉田潮さんの『ふがいないきょうだいに困ってる』(光文社)より紹介する――。(前編/全2回)

※本稿では、プライバシー保護の観点から、すべての人物を仮名にしています。

湖に向かって白ワインで乾杯する二人の男性
写真=iStock.com/courtneyk
※写真はイメージです

ワル・馬鹿・クズの3兄弟のとんでもエピソード

今から紹介するのは、この本に登場する人物の中でも、おそらく最凶のふがいないきょうだいだ。しかも3人の兄が揃いも揃って金に執着しているという。金額が金額だけに、スケールの違う「ふがいなさ」である。

「兄たちのせいで、とにかくひどい目に遭ってきましたから。端的に表すなら、長兄はワル・次兄は馬鹿・三兄はクズ。兄たちの数十年に及ぶ、ふがいないにもほどがあるエピソードがお役に立つなら幸いです」

話してくれたのは福永美華さん(59歳)。父は専門性の高い特殊な建築を手がける会社を一代で築き、全国の都市部に支社も展開。ところが、父の死後、兄たちに任せておいたら経営が破綻寸前に。

借金、横領、窃盗未遂に使い込み……兄たちのエピソードは枚挙にいとまがない。警視庁で言えば、捜査二課・三課が担当する案件ばかりだ。

「お前は兄貴に絶対に1円も貸すな!」

「父は戦争に行った世代です。私が20代の頃には、心臓や十二指腸の病気で入退院を繰り返していましたから、自分はあまり長く生きられないと思っていたようです。私には、『お前は兄貴となんか仲よくしなくていい! 絶対に1円も貸すな!』って。普通、余命を悟った親は、きょうだい仲よくとか言うもんでしょ? 仲よくするな・金貸すなと病床で叫ぶ親も珍しいと思います。父はリアリストで建前を言わない人でしたからね」

父にも見限られていた兄たち。いったいどんな人生を歩んできたのか。