適正な薬の服用はどのくらいか。医師の和田秀樹さんは「オーストラリアのある調査では、入院患者の約5人に1人が薬の飲みすぎに起因した入院だった。病院に行くと、不調の数だけ薬が処方されてしまいやすい。患者は自分が飲むべき薬の副作用について必ず医師に尋ねることだ」という――。

※本稿は、和田秀樹『65歳から始める和田式心の若返り』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/Ca-ssis
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入院患者の約5人に1人が薬の飲みすぎ

65歳を過ぎると、どんなに注意をしていても、調子の悪いところが1つ、2つと増えていきます。それが「老いる」ということであり、生きている証です。

ところが、医療では、病気を薬の力で抑え込もうとします。

オーストラリアでの調査報告では、全入院患者の3%前後が、薬の服用に起因した入院でした。高年の患者ではその比率がさらに高くなり、15~20%とされています。

薬の飲みすぎで重篤な状態になる人が、こんなにもいるのです。

薬を処方しすぎる薬大国・日本では、その比率ははるかに高いと見て間違いないでしょう。実際、それによって患者さんの健康を害することが起こっています。

薬の数が増えれば、必然的に副作用も多くなります。ちなみに高年者の場合、薬の数が6種類以上になると、副作用が増えるとされています。

「最近、頭がボーッとするし、寝込むことが多い」と思っていたら、多剤服用による副作用だったケースも珍しくありません。認知症と間違われたり、足元がふらついて転倒し、寝たきりになったりすることも起こっています。