日本には100人当たり4台の自販機がある
海外から日本に来た人がまず驚くのは、自動販売機の存在と、その数だ。日本自動販売機工業会の2010年度の調査結果によると、アメリカは約691万台(対人口約3億1千万人)、日本は508万台(対人口約1億2千万人)となっている。人口や国土の面積を考えると、自販機の数は、日本は世界一だといえる。
全国津々浦々、どんな人口の少ない山間部にも自販機は存在する。夜通し照明が輝く自販機の光で、宇宙から見た日本の写真が国土の形にくっきり見えると言う意見もある。だからといって、自販機=ムダではない。
今、自動販売機は100%「エコベンダー」になっている。これは電力会社、自販機メーカー、清涼飲料メーカーが共同開発した省エネ型缶飲料自販機で、1995年から設置を開始した。夏場には午前中に商品を冷やし、電力需要が高まる午後には冷却機能を停止し消費電力量をカット。CO2排出量を抑制する。
それに、自販機の照明が24時間ついていることについても、エコへの配慮をしている。最近の自販機は、周囲の明るさを感知するセンサーとタイマーが内蔵されており、照明の点灯時間を自動的にコントロール。屋外ものは、センサーにより昼間は消灯し、夜に点灯。夜間、明るくともインバータで消費電力量を50%にしている。一方、屋内に設置されたものは、ビルなどの閉館時間帯には自動的に消灯するようにタイマーがセットされている。こういった細やかな技術も、日本は世界一といっていいだろう。
なぜ、ここまで自販機が日本で普及しているのかといえば、治安のよさや利便性を追求する国民性もあるが、やはり大きいのは、日本が地震大国だということ。災害がおこったときに、電光掲示板付きの自販機で災害情報を流す取り組みや、飲み物を無料で提供できる機能の設置がはじまっている。また都市部を中心に、住所が明記されたステッカーの貼られた機種が続々登場している。
利便性の高い社会インフラとしての認知が高まっている自動販売機。最新の省エネ技術を搭載した自動販売機は、災害に備え、夜道を照らして犯罪の防止にも一役買い、人々の心を明るくしているのかもしれない。