慣れると「口」放せなくなる?
今、電車に乗って周りを見回してみると、ケータイを見ている人の8割方がスマートフォン。画面を指でスイッスイッとスクロールし、ほしい情報や機能を呼び出す。使い勝手のよさは画期的であり、一度使うと手放せなくなる。だから、スマホがパートナーにとどまらず、自分の分身のような存在になる人も少なくない。
さまざまなスマホがあるなか、注目の新しいサービスといえば「音声アシスト機能」だろう。アップル社のiPhone 4Sに代表される「Siri(シリ・Speech Interpretation and Recognition Interface)」は、米国で開発された秘書機能アプリケーションソフトウェアによるもの。アップルのiOSと並び、スマホプラットフォームの双璧であるアンドロイド陣営では、NTTドコモが「しゃべってコンシェル」を大プッシュ。こちらはドコモクラウドの機能のひとつだ。ともに自然な言語処理で、ユーザーの要求に応えてくれる。音声アシスト機能の認識能力は想像以上に高い。
ここではSiriを例に取ってみよう。友人に話しかけるのと同じような感覚で使用が可能で、たとえば「メッセージを読んで」「タイマーをセットして」「傘は必要?」などとiPhoneに向かって言うだけで、必要な情報を見つけ出して返事をしてくれる。
感心するのは言葉だけでなく、その意味までも汲み取ってくれるところ。「音声アシスト機能」と通称されているものの、ユーザーの行動全般を理解してフォローしてくれるから、「パーソナルアシスタント」というほうが、的を射ている。
この機能が徐々に支持されてきている。その理由は、きめ細かなコミュニケーション能力にある。たとえば、「この週末の東京の天気は?」とSiriに聞くと、「週末の天気です」と言いながら東京の天気予報を画面に表示する。続いて「鎌倉はどう?」と話しかけると、Siriは少し前の天気の質問を覚えていて、すぐに鎌倉の天気を探し出す。先を読みながら情報を探すのだ。
これが天気にとどまらず、さまざまな日々のタスクをサポートする。「お父さんにメール」「ママにメッセージ」「妹の会社に電話」などといえば、アドレス帳にある詳しい情報を元にほしい連絡先を出してくれる。さらに、メールの場合は音声で入力も可能だ。
現状、SiriではiPhone 4Sに内蔵されている基本アプリケーションの多くを利用可能。電話をかける、eメールやテキストメッセージを書いて送る、スケジュール管理にとどまらず、ウェブ検索、今聞きたい曲の再生、会議設定、目覚ましをかけるなども、すべて行ってくれる。今秋登場とアナウンスされている次期バージョンのiOS6ではサードパーティ製のアプリケーションにも対応する予定だ。
使い始めてしばらくは、電話機に向かって話しかけるのが恥ずかしいかもしれない。だが音声アシスト機能を使ってのスマホ操作に慣れてしまえば、ライフスタイルはますます機能的かつ快適になる。寄り添ってくれるパートナーとして、一度はその世界に足を踏み入れてみる価値は大だ。