大勢の写真や集まりに惹かれるのはなぜか。フリーライターの鶴見済さんは「人間は、進化の過程で集団になり生き延びてきた遺伝子からか、大勢をうらやましいと思ってしまう。しかし、大勢の世界を押し付けられる息苦しさもあり、そうした世界から逃げ出したい子供たちは増加している」という――。

※本稿は、鶴見済『人間関係を半分降りる 気楽なつながりの作り方』(筑摩書房)の一部を再編集したものです。

教室で緑の黒板を拭くアジアの中国の小さな女の子
写真=iStock.com/kiankhoon
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なぜ大勢の写真はうらやましく思えるのか

十人二十人という大勢でワーッと盛り上がっている写真。知り合いがそれをSNSにアップしているのを見れば、「ああうらやましいな」と思うだろう。

数人でならよく人と会っていたとしても、この「大勢でワーッ」にはかなわない。その交際だけでは足りないような、どこか負けているような、寂しい気がしてしまう。

本来広くつきあうか、少人数が好きかという、人づきあいのタイプの違いに過ぎないはずなのに。ああいうものは、なぜそれほど心に迫ってくるのだろう?

ハッキリ言えば、人間は仲間の数が多いほうが強い。

これはどうしても言えることだ。近所を歩いていて、学校帰りの子どもが道端で大勢で盛り上がっていることがよくある。

仮にそれが小学生であっても、そのそばを歩いて通り過ぎるのは少し怖い。何か冷やかしの言葉を飛ばされたりしないかと警戒してしまう。実際にそうされたことが何度もあるので。

けれどもこちらに数人でも仲間がいたら、もう怖くない。海外旅行で危なげな街を見物する時など、ひとりでいるのと複数でいるのとでは、まったく気分が違う。

あれは本当に不思議なものだ。