恋愛は誰もがするべきなのか。フリーライターの鶴見済さんは「日本社会ではセックスを経験しろという“圧”がすさまじい。経験がないと『未熟者』とされる謎の文化もあった。しかし、いまはセックスも恋愛もしなくていい、途中でやめてもいいという社会に変わりつつある」という――。

※本稿は、鶴見済『人間関係を半分降りる 気楽なつながりの作り方』(筑摩書房)の一部を再編集したものです。

ベッドから外を見ている大人のカップルの足
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「アイ・ラヴ・ユー」なんて自分には無関係だった

30歳くらいまで、異性とつきあったことがなかった。一対一でデートみたいなことをしたことも一度もなかった。

高校から浪人の頃となると、異性と会話をした憶えもあまりない。高校は共学だったので近くにはいたのだろうが、名前を憶えている女子すらほとんどいない。

30歳くらいになってつきあいはじめたのは、書いた本がベストセラーになったので、興味関心が合う異性と格段に出会いやすくなったからだった。そんな特殊な事情がなければ、その後もどうなっていたかわからない。

もともと恋愛には、それほど熱意はなかった。女子にモテようと努力するなんて、そもそも恥ずかしいではないか。「アイ・ラヴ・ユー」なんて、自分には無関係な、歌に出てくるだけの言葉でしかなかった。しかも、誰でもそんなものだろうと思っていた。