工事費自体が30~50%も値上がりしている

さらに東日本大震災等の影響で震災前に施工した物件では、非常用電源設備などの装備を新たに付け加える必要に迫られている。これらの設備にも当然維持管理のための新たな費用が加わることになる。

フィットネス機器も15年から20年で更新が必要になるし、プールのような「水もの」は管理費がかかるうえに、タイル等の補修やシャワーなど衛生設備の更新には膨大な費用がかかってくる。

さらに今後問題が深刻化するのが、工事費の高騰だ。

外壁の塗料やタイルなどの材料費の高騰、作業員不足は人件費の高騰だけでなく、工期のさらなる延長を余儀なくさせる。国土交通省のガイドラインの変更は2年前。その時点と比較しても工事費は高騰を続けており、ここ数年で30%から50%もの値上がりを続けていて歯止めが利かない状況にある。

これまでの長期修繕計画の多くは物価高を見込んできていない。世界的インフレ時代を考えるとさらなるガイドラインの変更を余儀なくされることは容易に想像できる。

大規模修繕註のマンション2棟
写真=iStock.com/Orthosie
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あがめ奉られてきたタワマンの本当の未来

1回目(築15年から20年)を何とかクリアできても、エレベーターほか高額設備の更新が必須となる2回目(築30年超)を迎える頃に、現状での修繕積立金水準をもってしても費用を賄えない可能性が高いのだ。

人件費の値上がりは管理費用のさらなる高騰を誘発する。管理費も現状の改定では間に合わなくなり、採算の合わない管理会社からサービス内容の変更や管理業務そのものからの撤退を突き付けられる可能性すら出てくるだろう。

さてこうしたコストアップに多くのタワーマンションが耐えられるだろうか。住民の高齢化は着実に進む。いつまでも価値を保ち続け、売買が容易なマンションとして存続するには膨大な費用を全所有者で負担していかなければならない。

ただでさえ、一般居住者に加え、投資家、外国人、相続対策目的の高齢者などさまざまな思惑を持った人たちの集合体であるタワーマンション。管理組合での決議にあたっては難航を極める姿も想像される。あがめ奉られてきたタワーマンションの未来は必ずしも明るいものとは限らないのだ。

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