2003~2008年築の物件が大規模修繕を迎える
タワーマンションは超高級マンションの代名詞ともいわれてきたが、いまや新しくマンションを買う人の5人に1人がタワーマンションオーナーだ。タワーマンションとしての希少性は薄くなり、一部の物件はコモディティ化しているのが現実だ。
タワマンは資産価値が落ちにくいと言われてきたが、数が増えれば当然、タワマン同士の競争も激化する。とりわけ老朽化していく建物本体や豪華な設備については資産価値を維持するために、十分な修繕と設備機器の更新が必要になってくることは言うまでもない。
2000年以降に多く建築されたタワーマンションは、これから大規模修繕を迎える。首都圏のタワマンで最初に大規模修繕が必要になる築15年から20年(2003年から2008年築)にあたる物件は、354棟10万3760戸に及ぶ。この中にはすでに修繕に着手したものもあるが、果たして順調に工事は進んでいくのだろうか。その内実を明らかにしていこう。
月2万円で豪華な施設を利用できるのはお得
タワーマンションは一棟の建物の中に数百戸から1千戸超もの住戸が軒を連ねる一大地域社会と言ってもよいものだ。共用部内にはジムなどのトレーニング施設、応接セット、図書室、ゲストハウス、託児所、中には豪華なプールなどを備えたものまで存在する。
当然、これらの施設には維持管理費用がかかる。フロントには住民のさまざまな要望に応えるコンシェルジュがにこやかな笑顔で出迎えてくれるが、彼らの人件費は毎日のように計上されている。タワーマンションは建物設備が豪華である分、維持管理費用の塊ともいえるのだ。
タワーマンションの管理費は物件によって戸数や共用施設の内容が異なるので一概に相場というものはないが、1平方メートル当たり250円から300円程度だ。70平方メートルの住戸であれば1万7000円から2万円といったところ。高級住宅地の低層プレミアムマンションだと1平方メートルあたり350円から400円ほどになるので、たしかに管理費は割安といえる。
戸数が多いので管理費収入の総額は膨らむ。数百戸の住戸を抱えるタワーマンションともなれば年間数千万円から1億円の収入となる。この収入の中から共用施設の管理業務を行っていくという計算になるのだ。これで豪華な施設を利用できるのだからお得だというのはうなずける。