5月6日に開かれたイギリス・チャールズ国王(74)の戴冠式。現地に赴いてパレードを見た英国王室ウオッチャーの東野りかさんは「ハイソな方々は総じて無関心で、中流とそれ以下の人々は、知らない者同士が路上で飲んで騒いで喋ってお祭り騒ぎ。ただし、注目の的は主役の国王ではなく、美人政治家やPerfect Kateことキャサリン妃だった」という――。
2023年5月6日、ロンドンで戴冠式へ向かうチャールズ英国王とカミラ王妃を乗せた馬車「ダイヤモンド・ジュビリー・ステート・コーチ」
筆者撮影
2023年5月6日、ロンドンで戴冠式へ向かうチャールズ英国王とカミラ王妃を乗せた馬車「ダイヤモンド・ジュビリー・ステート・コーチ」

はるばる極東からなぜわざわざ戴冠式を見に行くの?

「It’s so funny」(超ウケるんだけど)

2023年5月6日の戴冠式の前日。ロンドンへ向かう飛行機の中で、隣の席に座っていたイギリス人夫婦に「戴冠式を見に行くのです」と筆者が言ったところ、先のように返された。

自分たちイギリス人は戴冠式に1ミリも興味がないのに、なぜこの東洋人の女は極東くんだりからわざわざ見に行くんだ? と口に出さずとも彼らの顔に書いてあった。

ロンドンで出会ったイギリス人や在英日本人のほとんどの反応は、このようなものだった。国王を支持するとかしないとか以前に、王室そのものに関心がないようだ。その無関心層は若い世代を中心に国民の6割にのぼるという。

雨にたたられたのはダイアナ妃の呪いという噂が

2022年9月のエリザベス女王の葬儀での奮闘で、チャールズ国王はそれまでの不人気を脱出したようだった。いや、どうやらそこが人気のピークで、それからジリジリと支持率が降下。

国王はインテリでハードワーカー、気難しいオタク気質。亡き女王のようなカリスマ性や求心力はない。妻のカミラ妃もやっと王妃として認められたものの、いまだに、「ダイアナ元妃を死に追いやった」とみる人もいる。

戴冠式当日も、パレードが始まってから雨が降り始めて、儀式の最中はとうとう本降りになった。式の前後の日はすっきり晴れて気温が上昇した時間帯があったというのに運が悪い。「雨にたたられたのは、ダイアナ妃の呪いだ」という噂が、一部ネット上に流れていた。

それでも、パレードのメインルートであり、バッキンガム宮殿に近いザ・マルの周辺は、キャンプの装備を持った人々が場所を陣取り、前日からそれなりに盛り上がっていた。

イギリス人はコスプレが大好きなので、思い思いのキング&クイーンの衣装をまとい、手作りの王冠をかぶっている人も多い。

筆者はこの周辺で見学するのを諦め、まだ並ぶ人が少なく、戴冠式が行われるウェストミンスター寺院近くの街道沿いで待つことにする。