知らない人間同士で飲んで騒いで喋って、退屈知らず
5月6日、朝6時。
ウェストミンスター寺院近くの沿道の、かぶりつきでパレードを見られる良い場所はすでに人で埋められていた。
国王のパレードが始まるのは10時半ごろ。これから5時間近く時間を潰さないといけないが、イギリス人にとっては、何ら苦痛ではなさそう。というのもイギリス人はコミュニケーション能力が非常に高い。知らない人同士(前も後ろも横も斜めも)でも、喋ること、喋ること。さらには食べ物をシェアする、酒を酌み交わす、スマホの中の家族の写真を見せる、自分のこれまでの職歴を披露するなど。
なかには、パレードの警護をする若手警察官をイジリ出す者も。だから全く退屈しない。筆者の周囲にはアジア系もチラホラいたが、おとなしめ。
そこで筆者は気づいた。
「彼らは君主制支持派というよりも、面白そうなイベントだからとやって来ている人が多いのだ」と。
彼らの身なりや持ち物を見るに、たぶん中流かそれ以下。年齢的には50代以上が多い。ティーンエージャーや幼い子供が結構いたが、どうやら親や祖父母に(半ば無理やり)連れてこられたのか。
低学年の子供たちは退屈しのぎに、ずっとタブレットなどでゲームをしている。幼児は手作りの紙製王冠の作成に夢中になっている。筆者は戴冠式後に、バッキンガム宮殿近く、ハイドパークコーナー周辺のパブに入ったが、そこで酒を飲んでいる層は、身なりの良い30代のハイソ風の男女。そういうアッパー層は、パレードの見学者の中にはあまりいなかったような気がする。