誰でも参加できるお祭り騒ぎだから、参加しないと損

何といっても前回のエリザベス女王から70年ぶりの君主の、そして王妃にいたっては86年ぶりの戴冠式である。

一生で何度見られるかわからない。王室に関心があろうがなかろうが、(入場無料の)誰でも参加できるお祭り騒ぎ、「参加しないのは損!」だと捉えているのではないだろうか。特に庶民にとっては。

パレードを待つ人々
筆者撮影

そこで、「王室のメンバーでは誰が好きか?」と筆者の前にいる中年女性にたずねたところ、「亡くなった女王のことをいまだに尊敬しているわよ。あとはキャサリン妃も好きだね」とのこと。

あのー、今回の主役はチャールズ国王夫妻なんですけど……。

国家元首はいまだにエリザベス女王の気分

この気持ちもわからないでもない。

多くのイギリス国民にとって、気分的には国家元首はいまだにエリザベス女王。国内で流通する紙幣も切手に描かれているのも女王の肖像だったり、警察官の制帽につけられているバッジもエリザベス女王を表す「E II R」だったり。なんだかんだ言って、まだ女王の国なのだと改めて思う。

思えば、エリザベス女王の戴冠式は彼女が27歳の時に行われた。輝くように若く美しい女王は、新時代の到来を象徴するものだった。一方、今まさに目の前を馬車で通っていったチャールズ国王&カミラ妃は、どう見ても、おじいさんとおばあさん。

特にウェストミンスター寺院からバッキンガム宮殿に帰る馬車は、1700年代の製作で、サスペンションがない、ガタガタ揺れる最悪のシロモノ。この「ゴールド・ステート・コーチ」と呼ばれる古い馬車は、エリザベス女王も前回の戴冠式で乗車したが、20代だった彼女でさえ大変な思いをしたとのこと。しかも重い王冠をかぶっているのだから、国王夫妻が疲れて顔色が悪く見えたのも仕方がない。