秋篠宮ご夫妻は今春から、増改築した赤坂御用地の秋篠宮邸に住まわれている。評論家の八幡和郎さんは「総費用が44億円に上ることが『贅沢だ』などと批判されているが、そもそもの発端は上皇陛下が退位された後、かつての東宮御所に戻られたことに伴うものだ。また、皇嗣殿下ご夫妻が海外の賓客を招待することを考えると、質の高い建物である必要がある」という――。
天皇誕生日の一般参賀で手を振られる秋篠宮ご夫妻と次女佳子さま=2023年2月23日午前、皇居
写真=時事通信フォト
天皇誕生日の一般参賀で手を振られる秋篠宮ご夫妻と次女佳子さま=2023年2月23日午前、皇居

秋篠宮家批判は客観性や公平性を欠いている

秋篠宮皇嗣殿下ご一家へのバッシングが止まらない。この約1カ月の間にも、国民の批判を煽るような記事が掲載されている。

女性自身の別の記事では、英国王戴冠式への皇嗣殿下ご夫妻の出席を報じたデイリーメールの記事のコメント欄に英国人たちが歓迎する意見を投稿したのに対して、日本人が英語で眞子さんの結婚問題や悠仁さまの進学を揶揄するコメントを書き込んでいるとも指摘している。

そもそも、秋篠宮皇嗣殿下ご一家について、海外から否定的な評価はほとんどない。あったとしても、日本国内の報道やSNSでの発信を紹介している程度だ。

秋篠宮家への批判として取り上げられている話題は、ほとんど客観性や公平性に乏しい誹謗ひぼう中傷にすぎないが、今回はそのうち、秋篠宮邸改修工事について、批判がいかに見当違いのものであるか、検討してみたい。

44億円超の新居は「玉突き大移動」の影響

平成の陛下(上皇陛下)のご退位に伴って、それぞれの引っ越しと邸宅の改修が行われたので、玉突き式の大移動が行われた。上皇陛下ご夫妻が皇居内の御所からいったん仮住まいの高輪皇族邸へ、今上陛下ご一家が旧東宮御所から御所へ、そして上皇陛下ご夫妻が旧東宮御所改め「仙洞御所」へ引っ越された。

それとは別に、秋篠宮さまが皇位継承順位1位の「皇嗣」となり職員が増えたことなどを受け、ご一家の邸宅の大改修が行われた。地上2階、地下1階の建物に私邸部分のほか、賓客の接遇などに使われる公室部分や職員らが勤務する事務部分などがあり、広さは約2倍(延べ床面積約1378平方メートル)になったという。

改修費用は、御所が約8億7000万円、仙洞御所が9億円ほど、秋篠宮邸が約44億円(仮住まい先の「御仮寓所」建設費含む)かかかったそうだ。これをもって、秋篠宮家を批判する人たちがいるのだが、本来は代替わりに伴って、旧東宮御所に皇嗣殿下となられた秋篠宮ご一家が入られるはずだった。

しかし、上皇陛下ご夫妻にとっては、皇太子時代に住まわれた旧東宮御所が好ましいということで、そちらに住まわれることになり、しかたなく皇嗣殿下は賓客などを迎えられる質と規模となるように、新館を増築されたというだけのことだ。

上皇陛下ご夫妻が、別の施設を使われる選択もあっただろうが、種々、検討して今回のような配置換えを政府と宮内庁が選んだということであって、秋篠宮家が非難される筋合いは全くないのである。