米銀行破綻はFRBの失策

2023年3月、海外で銀行の経営破綻が相次いだ。10日に資産規模全米16位のシリコンバレー(SV)銀行が破綻して、連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれた。シリコンバレー銀行の顧客にはベンチャー企業やベンチャーキャピタルが多い。預金は保護されたが、決済できずに混乱が起きた。

パウエルFRB議長。
パウエルFRB議長。(時事通信フォト=写真)

シリコンバレー銀行破綻の翌週には、世界でも5本の指に入る名門、クレディ・スイスの株価が急落。経営破綻が決定的になり、19日にはスイス政府の主導により、同じスイスのUBSが30億スイスフラン(約4260億円)で買収して救済することに決まった。

アメリカとヨーロッパで立て続けに銀行が破綻したことで、連鎖して世界的な金融危機が起きたと受け止めた人は多い。しかし、シリコンバレー銀行とクレディ・スイスとでは破綻した原因が異なる。連鎖ではなく、たまたまタイミングが重なっただけだ。その点を誤解して総悲観になると、金融危機が現実のものになるので注意が必要だ。

アメリカ側から見ていこう。シリコンバレー銀行の破綻は、一言でいえばパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が悪い。パウエル議長の頭の中は雇用とインフレの問題で占められていて、西海岸の一銀行のことなど考えずに金利を上げていったからだ。