ノーベル賞をだしに税金の無駄遣いが開始

壮大な無駄づかいが始まった。10兆円規模の大学ファンドである。

2023年3月31日、文部科学省は「国際卓越研究大学」制度への公募を締め切った。申請したのは、早稲田大学、東京科学大学(2024年度をめどに東京工業大学と東京医科歯科大学が統合予定)、名古屋大学、京都大学、東京大学、東京理科大学、筑波大学、九州大学、東北大学、大阪大学の10大学(申請順)だ。今後秋にかけて段階的に審査が行われ、認定する大学を絞り込む。

選ばれた大学は、科学技術振興機構(JST)が設置した10兆円規模の大学ファンドから、最長25年にわたって助成を受けられる。支援額は1大学あたり年間数百億円の見込みだ。

10兆円大学ファンドが無駄なのは、目的がズレているからだ。国際卓越研究大学制度は、世界トップレベルの研究力を目指す大学を支援する仕組みだ。ひらたくいえば、科学技術大国の夢よ、もう1度。ノーベル賞を受賞するような研究で日本の存在感を示したいのだ。

しかし、大学の世界ランキングの順位を気にしているのは、文部科学省と大学の関係者だけだ。国民が期待するのは、テクノロジーで産業を盛り上げること。そこを履き違えて、20年後のノーベル賞受賞を目的とした研究に税金を突っ込むのは、愚の骨頂である。