G7サミットの成功を手放しで喜べない理由

2023年5月19日から3日間にわたって広島でG7サミットが開催された。ホスト国かつ唯一の戦争被爆国である日本のイニシアチブによって、各国首脳が原爆死没者慰霊碑に献花した。世界平和の実現に向けた強いメッセージを日本から世界に発し、サミットは大成功に終わった――。

G7および欧州連合(EU)の首脳と写真撮影するゼレンスキー・ウクライナ大統領。
G7および欧州連合(EU)の首脳と写真撮影するゼレンスキー・ウクライナ大統領。(時事通信=写真)

近年のG7サミットはもはやクラス会の様相を呈しているので、新聞の政治部記者はこのような予定稿をあらかじめ用意していたに違いない。予定稿に付け加えるのは、ゼレンスキー宇大統領来日のエピソードくらいだろう。

G7サミットは緊急に話し合わなくてはいけない問題が何もなく、お互いに仲良しであることを確認することが目的になっている。ロシアや北朝鮮など頭の痛い問題はあるが、実効性のある制裁について議論することはなく、新聞の予定稿のごとく、すでに閣僚級で調整済みの非難声明を読み上げて終わりだ。今回のG7サミットは私も外交的には成功と評価している。ただし、「内容はないよう」と言ったところだ。

G7サミットとその前後に、積極的に外交をこなしていることに対するご祝儀で、どの世論調査を見ても岸田文雄内閣の支持率は持ち直している。