カジノを含む統合型リゾート(IR)について、政府は2029年の開業を目指す大阪府・市の整備計画を認定した。ロンドン在住ジャーナリストの木村正人さんは「何でも賭け事の対象にするイギリスでは、ギャンブルスポットの数は減っている。代わりに猛威を振るっているのはオンラインカジノだ」という――。
日本初のカジノは大阪観光の目玉になるか
カジノを含む統合型リゾート(IR)について、斉藤鉄夫国土交通相は14日、「IR整備法に基づき外部有識者の審査委員会で約1年に及ぶ審査が重ねられ、認定し得る計画との審査結果が得られた」と大阪府・市の整備計画を認定し、「IRが日本の魅力を世界に発信する観光拠点となることを期待する」と強調した。2029年に日本初のカジノ開業を目指す。
「日本最大規模の国際会議場施設の整備が計画されている点や経済波及効果について肯定的な評価が得られている。今後、大阪のIRは開業に向け、計画の実施状況評価で進捗状況を確認していく。カジノについてはカジノ事業の免許を受ける必要がある。その際、カジノ管理委員会で十分な依存防止対策が措置されるかが確認される」と斉藤氏は説明した。
世界経済フォーラムが昨年5月に発表した「旅行・観光競争力レポート」で日本は堂々の1位(21年ランキング)に輝いた。コロナ前の19年、大阪を訪れた訪日外国人は東京の1410万人に次ぐ1152万人。経済の地盤沈下が著しい大阪にとってIRを観光の目玉にという声は大きい。しかし、かつて「暴力団とお笑いの街」と揶揄された大阪にカジノは必要なのか。
大阪の有権者の中ではカジノ賛成派が多数派
4月9日の大阪府知事・大阪市長ダブル選ではIRを推進する大阪維新の会が圧勝。朝日新聞が同日行った出口調査でもIR誘致賛成が知事選で53%、市長選で55%といずれも反対を上回った。民意の追い風を受け、岸田文雄首相も14日「大阪のIRについては25年の大阪・関西万博開催後の関西圏の発展やわが国の成長に寄与する」と期待を寄せた。