2022年に96歳で亡くなったエリザベス英女王は「ミキモトパールの4連チョーカー」を愛用していた。この首飾りは英国王室に受け継がれており、女王の国葬ではキャサリン皇太子妃も身につけていた。いったいどんなストーリーがあるのか。ジャーナリストの多賀幹子さんが解説する――。

※本稿は、多賀幹子『英国女王が伝授する 70歳からの品格』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

エリザベス女王2世は、外国の要人のための歓迎式典と行列の間にロンドン中心部のモールに沿って渡す華やかな儀式のコーチの窓に囲まれています
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明るい色のワントーンコーディネートを好んだ理由

エリザベス2世のワードローブは、多くの人たちの称賛の的だ。特に、鮮やかな赤、オレンジ、黄などを見事に着こなすさまにはため息がもれた。女王のワントーンコーデ(一色つかい)は、ご自分が着飾るのが目的ではなく、国民に見てもらいたい、という気持ちからだった。一目で女王であると認識してほしいのだ。国民の3人に一人が女王を見たことがあるというBBCの調査結果がある。

女王は、国民に見てもらうために洋服を選ぶ。目立つ色なら「女王」とすぐにわかってもらえるし、明るい色なら気持ちも晴れやかになる。前から後ろから横からも、すぐに「女王にお会いした」と思えるように心がけた。

女王を見るために長時間並んで待った人も多いに違いない。そういう人たちに、楽しくうれしい気持ちになって帰ってほしい。鮮やかな色遣いの選択は国民のためだ。これで、もっとも「着ない色」がグレーであるのも説明がつく。グレーもすてきな色合いではあるが、国民と会う時にわざわざ選ぶことはなかった。