逝去の2日前まで公務にあたった健康の秘訣
エリザベス女王は96歳で亡くなったが、亡くなる2日前に、スコットランドのバルモラル城でトラス首相(当時)の任命を行うなど、最後の最後まで公務に励んだ。首相任命は、君主しかできない重要な公務である。
生涯現役を文字通り貫いた女王は、何より健康を大切にした。70年に亘る在位期間中は大きなけがもなく、長期入院するような手術も受けなかった。これまで、70代で膝軟骨の手術、80代でおなかの風邪で一泊入院、90代で白内障の日帰り手術を受けたくらいだ。死亡診断書の死因には、「老衰」と書かれている。
健康法の基本は、規則正しい生活だ。朝は7時半に起きてカーテンを開け、日の光を浴びる。そこにスタッフが紅茶を運んでくる。お気に入りはチャールズ皇太子(当時)が私邸「ハイグローヴ」で手がけたアールグレイだ。それをいただきながら、ラジオのBBCニュースを聞く。イギリス国内ばかりでなく、世界の出来事に耳を澄ませる。
規則正しい生活は宮殿スタッフのためでもあった
それからお風呂に入る。湯加減はいつもぬるめで、用意された衣服に着替えると朝食をとる。このように時間通りに動くのは、女王の生活リズムを整えるのと同時に、女王のために働く多くの人にとってもありがたいことだろう。彼らや彼女らが働きやすいようにとの配慮もある。
女王の国葬の最後には、バグパイプ奏者が女王が前もって選曲したメロディーを流した。その中には、宮殿などで働いてくれた人たちをねぎらう一曲が混じっていた。
女王は、晩餐会や昼食会での食事は高カロリーのものが含まれることが多いので、普段はできる限り軽めにしている。好き嫌いはなく、なんでも召し上がったが、チキンと新鮮な野菜が中心で、万が一の食中毒を避けるために貝類や生魚は口にしない。
ただ、チョコレートが好きで、おやつにダークチョコを口にいれるところを目撃されている。また最も好きなお酒はジンで、ランチの前にデュボネとレモンのスライスを加えた爽やかなカクテルをたしなんだそうだ。