マッキンゼーは1400人、アクセンチュアは1万9000人

2月下旬以降、米国の大手コンサルティング企業が相次いで人員の削減を進めている。まず、マッキンゼー・アンド・カンパニーは約2000人の削減計画が報じられた。削減規模は同社にとって過去最大規模とみられる。3月23日、アクセンチュアも大規模なリストラ計画を発表した。今のところ削減規模は1万9000人に達する見込みであり、コンサル業界で過去最大級のリストラが進もうとしている。

カナダのオンタリオ州ミシサガにあるアクセンチュアビル
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リーマンショック後、世界の有力コンサルティング企業は、新しい事業の育成、その運営体制の企画、設計などに関する業務をIT先端企業などから受託してきた。そうすることで企業は迅速に、必要な業務運営の体制を整備できた。コロナ禍の発生によって、世界経済のデジタル化は一時的に急加速した。その結果、IT先端分野などで新しい業務運営の確立に必要なコンサルティング・サービスへの需要も押し上げられた。

しかし、競争の激化、世界的なインフレ進行、ウィズコロナへの移行、さらには世界的な金利上昇などを背景に、IT関連企業の成長期待は急速にしぼんでいる。すでに、米メタ(旧フェイスブック)などで、コンサル出身の経営幹部が要職を退いた。IT業界でのリストラは加速している。その成長を取り込んだコンサル業界などにもより強いリストラ圧力がのしかかろうとしている。

過剰投資、過剰採用を抱えたIT企業の退潮 

足許、米国を中心に急速にコンサル業界でリストラが進んでいる。それだけ、多くの企業は、高い成長が続くと先行きの展開を楽観し、採用を強化した。しかし、世界経済の減速、特にIT先端分野での業績悪化懸念が急速に高まった。IT有力企業では過剰な投資や採用が顕在化している。それに伴い、IT先端分野での需要を取り込んできたコンサル業界でも、過剰人員などの問題が浮上し、コストカットが急がれている。

リーマンショック後、米国ではアップルの“iPhone”などのヒットをきっかけに、経済のデジタル化が加速した。“21世紀はデータの世紀”と呼ばれるように、ビッグデータの重要性は急速に高まった。データを活用することによって、新しいビジネスが次から次へと生み出された。

メタやツイッターなどはSNSという新しい業態を生み出した。それにデータを用いた広告ビジネスが結合され、収益はおおきく伸びた。物流分野では、アマゾンがネット通販で購入された品物の配達スピードを引き上げるために、物流施設の建設を増やすなどした。