結婚後の変化
上地さんが歯科医として働くようになって以降、母親は上地さんに父親の愚痴を吐き、自分がいかに不幸かを話して聞かせるだけでは済まず、いろいろなものを買わせては、それを友人や近所の人に自慢した。しかし、買ってあげたものを大切に使うならまだしも、母親は上地さんに買ってもらったものを誰かにあげてしまうこともしばしば。上地さんがあえて買わないと、「ケチ!」とにらみつけた。
上地さんは36歳の時、友人の紹介で商社に勤める1歳年下の男性と出会い、約1年後に結婚。約2年後に長女を出産。
出産後、育休に入ったり、時短勤務になったりで収入は減り、子供の将来を考えるようになると、以前のように母親が望むままに何でも買ってあげられなくなる。断ると、「前はそんなこと言わなかった。ケチになった」と口を尖らせる。「誰かにあげちゃうなら、お金を払ってほしい」と上地さんが言うと、「急に嫌な人間になった」と眉をひそめた。
また、上地さんが結婚して以降、まるで自分より娘が幸せになるのが許せないかのように、上地さんの夫のダメな部分を指摘し、今まで散々愚痴を吐いてきたくせに、父親の方が上地さんの夫より優れているとアピール。夫だけでなく、夫の両親とも比較し、「私の家族の方が幸せだアピール」をしては、上地さんに同意を求めた。
「夫に対する悪口は本当に多く、その割には夫にもいろいろとお願いをしていたので、私だけでなく、私の家族も自分の思い通りにしようとしていたのだと思います。両親は不仲なので、私も自分と同じ目に遭わせようとしているように感じました。うらやましいのかもしれません」
先に結婚し、家を出ていた姉には子供が2人いた。
「私に子供が生まれると母は、孫3人のうち、姉の子供である『初孫が一番かわいい』と、わざわざ私に言ってきました。思うのは勝手ですが、私に言う必要はなく、とても気分が悪かったです」(以下、後編に続く)